テーブル上に投影された空中立体映像に対する影を用いたインタラクション手法 (227)

再帰反射を利用した空中結像技術(AIRR)を応用し,空中に立体映像を投影するテーブル型装置を構築した.具体的にはレンチキュラー方式により視差を作り出す立体ディスプレイ上に奥行を反転させた映像を出力し,これをAIRRを用いてテーブル面上にその鏡像を結像させることで立体映像を投影する.この手法は机上の遮蔽物と映像との奥行関係に齟齬をきたしやすく,特に映像に直接触れようとすると違和感が大きい.そのため映像に直接触れようとするようなインタラクションにはやや難があった.今回はそれを避けて,なおかつリアルタイムでのインタラクション可能性をユーザに感じさせるための手法として,影を用いたインタラクション手法を構築した.机上で手をかざすと立体映像に手の影が落ちるようにすることで,映像の奥行感が捉えやすくなり,実在感が増すように感じられる.

福地 健太郎,松浦 向日葵,大野 貴広(明治大)
車内コミュニケーションを支援する視点共有手法の提案 (175)

運転者と同乗者の間で「あの赤い屋根の家」や「そこの交差点」といった車外の場所を用いたコミュニケーションが行われる.こうしたコミュニケーションは,場所をポインティングする指示者と指示された場所を追随する追随者の間で行う.指示者は注目している目標物の座標(注目点)を言葉や目線,ジェスチャーなどを通して追随者に認識してもらう必要がある.本研究ではこの指示者と追随者の一連の動作をポインティング共有と呼ぶ.一方でポインティング共有は,指示者がポインティングを行っている注目点を追随者にうまく伝えることができず,失敗してしまうことがある.本研究では,目線と声に注目して運転者と同乗者のポインティング共有を支援するシステムを提案する.

野間 直生,塚田 浩二(はこだて未来大)
Avatar Jockeyを用いた現実空間と仮想空間を繋いだ表現システムの試作 (145)

インタラクション2020/2021で発表したAvatar Jockeyは,映像作品を見ている感覚に近い鑑賞体験である音と映像を反応させて行うオーディオビジュアルパフォーマンスと,演者を見て何の楽器を操作し,どんな音を出しているかを理解しながら鑑賞するバンドライブの違いに着目し提案したインタラクティブな表現システムである.具体的には複数人でMixed Reality空間を共有し,音源となるAvatarを配置・操作する事で音楽的なパフォーマンスを行うAR/MRアプリケーションである.本論文ではAvatar JockeyをVR対応し,現実空間と仮想空間を繋いだインタラクションを試作する事でCovid-19のパンデミック以降増えたオンライン配信ライブや仮想空間でのライブ,制限されたリアル会場でのライブ等で得にくくなった臨場感や高揚感に変わる新しい音楽ライブ体験を提案しその可能性を探る.

伏田 昌弘(東京コンピュータサービス),平林 真実(IAMAS)
珠の位置認識と操作手順の重畳表示を用いたそろばん学習支援システム (190)

そろばんを習得するには,数の表し方や指の使い方,計算手順を理解した上で繰り返し訓練する必要がある.訓練を繰り返し行うことで反射的に数字を処理し,計算できるようになる.しかしながら,そろばん初学者にとって,指の使い方を覚え,そろばん特有の計算手順を理解することは難しい.本研究では,練習はひとりで行うことができ,自分のペースで学習を進められるシステムの開発を目的とした.本システムは,リアルタイムにそろばんの珠の位置を検出し,数字を割り出す.また,学習者が問題を解く際に計算手順に沿って,そろばんの珠上やそろばん付近に運指や計算支援情報を重畳表示させる.そろばん初学者が実際にそろばんを使用し,そろばんの基礎や特有の計算手順の習得を支援する.学習者は本システムを用いて繰り返し問題を解くことで,それらを自分のペースで身につけることができる.

北川 珠莉,鈴木 優(宮城大)
即時フィードバックを利用したVRプレゼンテーション練習システム (171)

現実技術を用いて制作したプレゼンテーション環境に,動的な即時フィードバックシステムを実装した.仮想空間上に存在する聴衆の3Dモデルが利用者のプレゼンテーションに応じて,反応や態度の変化を行うことで,より臨場感のあるプレゼンテーション練習環境を構築した.



脇坂 真広,兼松 祥央,安原 広和,松吉 俊,三上 浩司(東京工科大)
SSVEPベースのBCIにおけるフリッカ刺激の数と大きさの影響 (158)

視覚情報を取得するSSVEPベースのBCIは,コンピュータ画面上で様々な操作ができ,また高速な通信ができることから注目を集めている.SSVEPベースのBCIは刺激の数が少ないほど高い精度が得られることがわかっているが,ターゲットサイズがBCIの制御に与える影響については調べられていない.そこで本研究では,フリッカ刺激をタイル状に並べたBCI用のUIを設計し,刺激の大きさがSSVEPベースのBCIのパフォーマンスに与える影響を調査した.その結果,刺激の数による影響は見られなかったが,刺激の視角が選択時間に影響を与えていることがわかった.また,実験結果をもとにBCIの特性を利用した最適なUIについて考察した.

振原 知希,宮下 芳明(明治大)
POP UP SHELF:物理的に本を駆動可能なインタラクティブな本棚の提案 (124)

電子書籍が普及した現在でも,物理的な本は手軽さや質感等の特徴から,多くの人に広く親しまれている.一方,物理的な本は電子書籍等と比較して,検索が困難であったり,インタラクティブ性に劣るといった課題がある.本プロジェクトでは,本を本棚から取り出すという行為に着目し,こうした課題の解決を図る.本提案では,本棚にアクチュエータを内蔵し,ユーザーの関心のある書籍を物理的に駆動して押し出すことで,本を手に取る体験を豊かにしたり,検索性を高めるシステム「POP UP SHELF」を提案する.

家山 剣,古町 昂大,和田 颯平,丹野 夏海,塚田 浩二,安井 重哉(はこだて未来大)
プロジェクションマッピングによるかき氷の味覚の変容 (210)

食体験のエンターテインメントとして,プロジェクションマッピングを活用した空間演出方法が様々なレストラン等の食事環境に導入されている.そして,視覚的な演出効果は食品そのものの印象を変化させる知見が様々知られている.それらに関する研究において,投影イメージによる味覚への影響がある程度示されているが,有意差が認められる程の味覚変化を示すことがなされていない.我々はかき氷のシロップの味が実はどれも同じであり色や香りで異なる味に感じているのではないかという観点に着目し,かき氷にプロジェクションマッピングを施し,かき氷への投射イメージの変化による味覚の影響について検討した.

大依 正宣,沖野 浩太朗,滝上 亮太,吉田 匠吾,彭 以琛,謝 浩然,佐藤 俊樹,宮田 一乘(北陸先端大)
単一画像からパラメトリックファーを用いて 毛皮の3 次元形状を再構成するシステムの提案 (229)

本稿では,3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)において単一の毛皮画像から毛皮の3次元形状(ジオメトリ)を再構成するシステムを提案する.提案手法では,与えられたパラメータによって振る舞いが変わるパラメトリックファーを利用した.事前に各パラメータに対してランダムな値を付与しレンダリングしたデータセット画像とターゲット画像との類似度を基にパラメータを自動的に推定することで毛皮の3次元ジオメトリを生成する.提案システムを使うことで,これまで知識や時間を必要とした毛皮のパラメータの設定に対して,再現したい毛皮の単一画像を準備するだけで行うことができるようになる.

村松 知弥,五十嵐 悠紀(明治大)
座面の変形により長時間の同一姿勢を解消する椅子 (223)

長時間同じ姿勢で座り続けると,身体の一部に継続的に負担がかかり,血流の流れが悪くなったり,筋肉が凝り固まる.これにより,神経過敏症や腰痛,ストレートネック等慢性的な身体の不調を引き起こす.本研究では,デスクワークによる健康被害を減らすことを目的とし,左右に分割された座面の体圧をリアルタイムで取得し,体圧が強くかかる方の座面位置を高くすることで物理的に姿勢の変更を行う.


中山 亜里沙,加藤 邦拓,太田 高志(東京工科大)
VR環境における高速度な斬撃動作体験システムの開発 (098)

VRアプリケーションにおいて,仮想空間内で刀剣を手にし,ハンドコントローラを振ることでその刀剣を振ることができるものがあるが,刀剣の軌道を素朴に表示すると体験者の身体動作そのままに見えてしまい,TVアニメーションのような低フレームレートメディアで見るような瞬時の効果と比べると刀剣の動きが遅く見えてしまい,爽快感が減殺されてしまうという問題がある.そこで本研究では斬撃動作の開始を検知し,瞬時に刀剣を振りぬくアニメーションをモーションブラー効果によって提示した上で,刀剣の位置を瞬時に斬撃動作の終端位置に移動させることで,体験者の動作速度の如何に関わらず爽快感のある斬撃動作を体験できる手法を開発した.現在の実装では斬撃動作入力の前に,動作の終端位置をコントローラを用いてあらかじめ設定する必要があるが,これは将来的には斬撃動作の開始時に終端位置を予測することで事前設定を不要とする計画である.著者らが試した範囲では,コントローラの入力そのままに刀剣を表示するのに比べて,提案手法では高速な斬撃動作を自身が達成できたかのような錯覚を覚え,爽快感を得ることができた.現在はこの実装を用いての評価実験を準備している.

山本 虎ノ介,福地 健太郎(明治大)
距離の変化・差分に基づく振動提示による環境知覚支援システム:振動刺激提示シミュレーション環境の構築 (208)

本研究は距離の変化・差分に基づく光学的流動の性質を模擬した振動刺激提示に検討を加える.シミュレーション環境上にユーザの頭部に仮想的な距離センサを設置し,取得した距離の時間差分に基づく要素とその時点での距離の逆数に基づく要素を掛け合わせた振動強度を算出し,振動刺激として提示するシステムを構築した.構築したシステムで壁面に対し回転探索した際の振動強度シミュレーション値を確認し,壁面に対し正対する方向を知覚する振動パターンを確認した.以上より距離の変化・差分の振動提示による壁面の方向定位の可能性が示唆された.

森田 慎一郎,吉田 裕輝(東京電機大),遠藤 一太(東京電機大学),小林 春美,武川 直樹,中村 明生(東京電機大)
二次元姿勢情報に基づく 速度,加速度,躍度を利用した 動作自動教示システム (063)

近年,画像処理や機械学習を用いたスポーツやダンスの動作解析,教示するシステムの研究・開発が進んでいる.例えば,モーションキャプチャデータに対して動作解析を行っているものや,深度カメラ・RGBカメラによって撮影された動画像データに対して人物姿勢推定を行った後に動作解析を行っているものがある.本研究では,能楽などの無形文化財の保存や技能継承のための舞踏動作の意味論レベルにおける特徴抽出を目的として,(1)人物をRGBカメラによって撮影された動画像データに対してOpenPoseを用いて人物二次元姿勢を推定する. (2)推定された関節座標の時系列データから算出された動作軌跡,速度,加速度,躍度に対して動作解析を行う. (3)これらの解析結果にcos類似度を使用して動作の人物間の誤差を算出する.この一連の処理系を有する動作の教示システムを提案する.

原科 尭宗,高丸 尚教(中部大学)
Symbolic Eyes: シンボリックな目元表情を提示する眼鏡型デバイス (150)

コミュニケーションにおいて表情は人間の感情や意思を伝達する役割を持っている.表情を相手に適切に伝えられないことはコミュニケーションエラーの原因となる.Covid-19の影響により,多くの人々がマスクを着用している状態であり,対話の相手の表情がわからないという意見があることや表情認識率の低下が報告されている.そこで本研究では,目元の表情をシンボリックなものに代替することで相手に正確に表情を伝える手法を提案する.提案手法では目元の表情を提示する小型ディスプレイを搭載した眼鏡型のデバイスを使用する.表情の切り替えは手元のコントローラのボタン操作によって行われる.本稿では,デバイスの実装と表情認識精度による評価実験の結果について報告する.

濱田 紀,橋本 直(明治大)
ONE Parker:オンラインライブパフォーマンス視聴のための一体感を促進する衣服型ウェアラブルデバイスの提案 (153)

本論文ではオンラインライブパフォーマンスにおける一体感の向上を促進するために,視聴者の盛り上がりを振動としてフィードバックする衣服型ウェアラブルデバイス「ONE Parker」の提案とそのプロトタイプの評価について述べる.近年,ライブエンタテイメントの需要は増加傾向にあるが,オンライン開催のイベントでは演者,観客の体感的なコミュニケーションが取りにくいことなどが原因で,イベントに対する満足度が低いことが明らかになっている.そこで本研究は,満足度が低い直接的な原因は一体感を感じられないことであると推測し,一体感を促進することで,オンラインライブパフォーマンスの満足度を向上させることを目的としている.始めに,一体感という言葉を構成する要素を定義し,デバイスの提案において適切なアプローチ方法を模索した.その一つである,「盛り上がりの認知」に着目し,心拍数と振動によるフィードバックを可能にする「ONE Parker」のプロトタイプを開発した.検証実験では,被験者11名にプロトタイプを着用した状態で,PV動画を視聴してもらったのちアンケートに回答してもらった.その結果,振動は盛り上がりの認知に効果的であることが明らかになった.

安保 友香梨,竹川 佳成(はこだて未来大),柳沢 豊(mplusplus),松井 遼太(mplusplus/はこだて未来大),平田 圭二(はこだて未来大)
ユーザ識別のための情報を段階的に復元することで意見表明時の負担を軽減するシステムの実装 (080)

ユーザ間の関係性が浅い場合,対話相手の意見を否定したり,自身の要望を伝えたりすることが精神的負担となると考えられる.この負担を軽減するために,匿名でメッセージを送るシステムなどの活用が考えられるが,それらのシステムが活用できないシーンにおいては意見の表明が困難なままであると思われる.この問題を解決するために,ユーザが関係の浅い相手に対しても自身が親しみを感じられる特徴を見出すことができれば,ある程度自身の意見を表明しやすくなるという仮説を立てた.この仮説を元に,我々は顔や声などのユーザ識別のための情報を別のものに置換し,関係の深さに応じて段階的に復元することで意見表明時の負担を軽減するシステムを提案する.このシステムでは,対話相手の情報のうち,ユーザ識別のための情報の一部を意見表明者にとって親しみを感じやすいものに置換し,ユーザ間の関係性が深まるごとに置換した情報を元の情報に復元するというものである.このシステムにより,ユーザが関係の浅い相手に対してもある程度の意見表明を行うことができると考えられる.本稿では,研究の初期検討として,顔に着目し,対話相手と自身の顔を合成し,コミュニケーションを行うごとに段階的に相手の顔に戻るチャットシステムを構築したことについて報告する.

森岡 優一,呉 健朗,古野 雅人,小島 一憲(ソフトバンク)
布の動きに着目したファッションショーの演出手法の提案 (165)

ファッションショーの演出にテクノロジーの介入が進んでいる.例えば,空間に映像を投影する演出や,モデルの動きに合わせた演出を施す事例があり,より多様な演出が可能になっている.しかしファッションショーの強みである,人が着て動いた時の服の様子に着目した演出は少ない.そこで服自体にセンサをつけて,人が着て動いた時の,服の布の動きをリアルタイムに映像に反映するシステムを開発した.着た時に布が揺れることが魅力である服において,動いた時に生まれる服の美しさを,より効果的に観衆に伝えられる演出を提案する.

三浦 光梨,栗原 渉,韓 旭,阪口 紗季,串山 久美子(東京都立大)
オンライン会議における感情推定と 参加者へのフィードバック方法 (048)

オフィスワーカーがオンライン会議に向き合う時間が増えているが,対面の会議と異なるさまざまな特徴があり心理的な負担を感じる人も多いと言われる.オンライン会議の場で参加者がどのように感じているかを会議の映像や音声から推定し,それをリアルタイムで参加者にフィードバックすることによって,会議参加者に対して好影響を与えることを目指す.フィードバック方法としては,参加者本人に自分のデータを提示する方法,全員や他の参加者にデータを提示する方法などさまざまなパターンがあり,それにより影響や効果は大きく異なると考えられる.ここではまず,今後の実験の土台とするために構築した,参加者の表情の分析結果から感情を推定し提示するシステムの概要と,初期利用結果およびフィードバック方法に関する考察を示す.

神場 知成(東洋大)
インタラクティブ時空間照明システムを用いた身体を動かしながら学べる学習教材 (079)

児童の学びや遊びの場が,机上で使用するICT端末に集約されていくことを避けるために,本研究ではインタラクティブ時空間照明システムを用いた学習教材の提案を行う.提案する学習教材では,床に投影された教材画像を児童が踏むことで学習が進んでいく.今回は九九の定着を図る学習教材を実装しその動作確認を行った.



櫻井 香菜子,栗原 有彩,藤井 恵子(日本女子大学附属高等学校)