ゲームを利用した手指消毒を促進するディスペンサの提案 (128)

近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴い,さまざまな場面でアルコールなどによる手指消毒が推奨されている.本研究では,ゲームが意欲・動機づけに対して好影響を及ぼす点に着目し,ディスペンサに手を近づける動作を操作方法とするゲームコンテンツと,ゲーム結果に伴う消毒液噴射の触覚フィードバックを用いたインタラクションにより,手指消毒を促進するゲーム筐体型のディスペンサを提案する.


木川 信款,柴田 拓海,武藤 彩花,栗原 渉,有山 大地,韓 旭,串山 久美子(東京都立大)
イベント会場における座席配置支援システム (121)

ライブやコンサートのイベントを行うには,ホール,アリーナ,ドームなどの大型スポーツ施設や小型のライブハウスが用いられることが多い.また,講義形式のイベントやセミナーには大型の会議室や体育館が用いられる.このようなイベント会場として使用される会場のフロアは据え置きの座席がなく,イベントごとに座席配置を考えて設置する必要がある.そこで本稿では,イベント会場の大きさや通路を確保したい部分などを入力することで座席配置を行い,配置した各座席からの視点をシミュレーションするシステムを提案する.本提案システムを使うことで,実際の会場に座席配置を行う前に各座席からの見え方を確認することができ,さらにステージ構成の違いによる収容可能人数を自動で算出することができる.

後藤 花穂,五十嵐 悠紀(明治大)
エクスカキバー:ビジュアル・サウンドエフェクトを用いた筆記支援 (110)

近年,学習者の学力の低下が問題となっている.その一方で,ゲームのプレイ時間は増加傾向にあり,その際に生じる興奮・興味・喜びなどのポジティブな感情は学習効果を向上させることが知られている.そこで本研究では,学習時の「筆記行動」にゲーム要素を取り入れたフィードバックを与え,書くこと自体を楽しくすることで学習意欲・学習パフォーマンスの向上を図る.本稿ではそのシステムとして,ストロークの種類を,点・直線・曲線の3種類に分類し,それぞれに打撃・斬撃などのゲームの要素を取り入れたビジュアルエフェクトと効果音のサウンドエフェクトを付与した.また,このシステムを18名の大学生に体験してもらい,筆記への印象や筆記量にどのような影響を及ぼすか明らかにした.

中川 久倫,伊藤 弘大(青山学院大),藤田 和之(東北大),岸 楓馬,福島 力也(阪大),伊藤 雄一(青山学院大)
kNODEledge: 講義中と講義後を通じて講義の再構成的な理解を支援する知識整理システム (069)

講義中と講義後を通じて講義を再構成的に理解するためのシステムkNODEledgeを提案する.講義を深く理解するには図式や要約によって学生自らがわかりやすい形に再構成すること(再構成的な学習)が重要だとされている.一方,学生が普段行っている学習活動(普段の学習)は教員の説明を愚直に書き留めるものであり,再構成的な学習とは差異がある.この差異を埋めるために,kNODEledgeでは,講義中にメモを書くことから出発して,講義後にそのメモを材料にして再構成的な理解のための図式を作成する流れを提供する.7名の被験者にkNODEledgeを使用させた結果,ほとんどの被験者が現実的な時間で十分にkNODEledgeを使えることが明らかとなった.また,kNODEledgeを高く評価する被験者の存在を複数確認できた.kNODEledgeは誰もが使用できるシステムとして近日中に公開する予定である.

諏訪 雄哉,小林 哲則(早大),藤江 真也(千葉工大/早大)
遠隔の初学者と経験者が共同で電子工作を行う製作ツールの提案 (056)

電子工作は様々な場所で手軽に楽しめるものづくりだが,特にマイクロコントローラを使う場合はプログラミングと電子回路を統合する必要があり,初学者は様々な困難に直面する.このため経験者と共同で製作する機会を得られることが望ましいが,経験者が常に初学者と同じ空間にいるとは限らない.そこで本研究の目的を,遠隔の初学者と経験者が共同でマイコンを使った作品を製作し,電子工作を効果的に学ぶことができる製作ツールの実現とする.共同製作ツールや電子工作における協調学習の研究を参照し,カメラ映像の拡大・移動機能と同時操作機能をもち全てのツールを常時一覧可能な製作ツールを提案する.初学者の電子工作能力を実験後に評価したところ,提案ツールを使った初学者の方が高いパフォーマンスを発揮する可能性が示唆された.

矢作 優知,松井 克文,Hautasaari Ari,韓 燦教,富木 菜穂,苗村 健(東大)
姿勢推定による人間拡張のためのリアルタイム人影生成 (191)

影は,インタラクションやメディアアートなどで用いられているように人間およびオブジェクトの存在を暗黙的に表す.従来のアプローチには影を動的に生成する研究はあるが,空間拡張現実に用いるための,ユーザの全身の影の生成は行われていない.本研究では,プロジェクタ・カメラシステムを用いてユーザのインタラクティブな影を作成する「インタラクティブな影生成システム」を提案する.本システムでは,まずユーザの体の事前モデリングと仮想環境の構築というオフラインプロセスを経て,ユーザをスキャンして作成した3Dモデルに物体を動かす仕組みを付与する.その後,システム内で設定した仮想光源を3Dモデルに照射することで影を生成する.最後に,プロジェクタを用いて実環境であるユーザの床面の足元に投影する.また,本研究では提案システムの使い勝手と生成された影の印象を調査するために被験者による評価実験を行った.調査の結果,ユーザの動きの認識の限界や生成された影の動作の遅延などが見られたが,多くのユーザから影の印象に対して高評価を得た.

吉田 匠吾,謝 浩然,宮田 一乘(北陸先端大)
GOCCO:他者視点発言を引き出すための 仮想会議参加者を採り入れた非対面同期型議論システムの提案 (170)

本研究では,集団議論において問題となっている,立場の差に起因する発言に対する心理的負担と,視点の偏りによる情報の見落とし等に対応する非対面同期型のオンライン議論システムについて検討する.そのために,匿名性と議論参加者らが実名としての振る舞いに加えて,この場にない他者視点を持つ別の参加者として振舞うことができる「仮想者会議参加者機能」を有するシステムGOCCOを構築した.GOCCOでの議論において,「仮想会議参加者」の利用が,他者視点を集団あるいは個人へ取り込むことに寄与しているかの初期的な検証をするために予備的実験を行った.結果として,当初の想定より多く仮想会議参加者が利用されていたことが確認できた.また,仮想会議参加者を利用することで,批判的な内容であっても発言しやすいことや,複数の他者視点を集団に取り込む効果があることが示唆された.

菊池 宗一郎,澤田 健太郎,高島 健太郎,西本 一志(北陸先端大)
ダミーカーソル実験におけるカーソルの遅延が自身のカーソル特定に与える影響 (076)

マウスを用いて,画面内のカーソルを遠隔で操作するときにそれを「自身のカーソルである」ということを認識している.自身の操作と対象物の動きの同期によるものであると考えられている.そこに遅延が生じると同期が損なわれ,「自身のカーソルである」という感覚が損なわれると考えた.そこで本研究ではマウスの動きと画面の表示に遅延を与えた状況でダミーカーソル実験を行い,遅延がカーソルの探索に与える影響について調べる.

安中 勇貴,山岸 丈留,相澤 裕貴,渡邊 恵太(明治大)
マスクを用いたユマニチュード訓練用近接センシングシステムの開発 (117)

ユマニチュードに基づく認知症ケアにおいて,介護者と被介護者の距離関係は重要な要素の一つであり,介護者の顔を被介護者の顔に20㎝程度まで近づけ,極めて近距離からアイコンタクトを確立することが求められる.通常,健常者同士のコミュニケーションでは,これほど近くまで顔を近づけることがないため,この距離間隔を把握・維持することは,専門的知識に乏しい一般の人々には困難が伴う.このため,ユマニチュードの習得には有識者による専門的なトレーニングを受ける必要があり,普及の障害の一つとなっていた.そこで本研究では,学習者が介護・被介護者間の距離感を自ら学習できる,マスクに簡単に後付けできる近接センサを開発する.顔の近接状態を自動で検出・通知することで,誰でも簡単にユマニチュードのトレーニングを行えるシステムを目指す.

住岡 英信(ATR),倉爪 亮(九大),塩見 昌裕(ATR)
野菜の成長過程の3次元可視化とその応用 (097)

近年基幹的農業従事者数が減少傾向にあり,年齢層も上昇傾向にある.本研究では,この問題を少しでも解消できるよう,若年層を対象に農業に関心を持ってもらえるようなコンテンツを作るためのデ-タ作成とその応用を目的に,野菜の成長過程の3次元可視化を行った.実際に,複数の成長条件で育てたミニトマトの成長過程をフォトグラメトリにより3次元データ化し,そのデータをUnity上で可視化を行った.携帯・スマホでも扱えるコンテンツとすることで,若者層を対象に実際に農場に行かなくても農業を疑似体験できるコンテンツを提供できると考えている.

宮森 蛍,伊藤 正彦(北海道情報大)
時代劇舞台でのチャンバラ効果音を自動再生する「刀剣ライブ」システムの提案 (205)

本研究では,時代劇舞台でのチャンバラにおいて,刀に関する効果音をインタラクティブに自動再生する「刀剣ライブ」システムの提案と開発を行った.このシステムでは,慣性センサを装着した専用のチャンバラ刀を用いる.そして,各チャンバラ刀のセンサデータを単独で解析するだけでなく,複数のチャンバラ刀のセンサデータを統合した解析も行う.これにより,「振る」「斬る」「刺す」といったチャンバラ刀の個別動作だけでなく,防御や鍔迫り合いなどで生じる「接触」といった複数のチャンバラ刀の相互作用を伴う動作の識別が可能となる.そして,それぞれの動作に応じた効果音を再生することで,時代劇舞台のチャンバラシーンにおける適切な効果音をインタラクティブに自動付加することを実現した.

細田 菜未,水野 慎士(愛知工大)
SENSE OF LIFE:動物の鼓動を比較/体感可能な触覚提示装置 (154)

動物たちも我々人間と同じように心臓が鼓動することで生きている.しかし,鼓動の速さは動物ごとに異なる.ネズミは1分間に600回心臓を打ち,ウサギは240回,ヒトは60回,ゾウは30回である.しかし,このような数値を見るだけでは,「生きていること」の実感が湧かない.我々は,生きていること,すなわち生き生きとした生命を感じることを「生命感」と定義した.そこで触れることで鼓動を体感し,我々と同じように生きている「生命感」を感じることができるシステム「SENSE OF LIFE」を提案する.Pure dataで生成した低周波の音をスピーカから出し,スピーカをきのこ型のシリコンに固定することで振動が伝わる.ユーザは,半球状のきのこの傘部分を触ることで動物の心拍数を体験できる.さらに,複数の心拍数を並べて体感/比較できることも特徴である.

迫田 海斗,渡会 隆哉,長嶺 和弥,椛沢 昂希,齋藤 巴菜,岡本 誠,竹川 佳成,塚田 浩二,佐藤 直行,伊藤 精英(はこだて未来大)
床型デバイスを用いた歩容取得による人物の推定 (211)

近年,生体認証が広く普及する中で,人の歩き方の個性を表す「歩容」を用いた認証方法(人物の推定)に注目が集まっている.多くの歩容認証ではカメラから取得した映像から歩容を導き出す手法が用いられているが,プライバシーの問題や,計算機・ネットワークリソースの問題などがある.一方で,歩く際の重心重量の変化などから歩容を取得できれば,これらの問題を解決できると考えられる.そこで,本稿では,床型デバイスを作成し,歩く際の重心重量をセンシングすることで,そのデータから各人の歩容の特徴を導き出し,機械学習を用いて人物の推定を図る.実験の結果,実験参加者7人を約78%の精度で識別できることが確認できた.

井熊 勇介,伊藤 弘大(青山学院大),藤田 和之(東北大),角谷 星哉,名富 太陽(阪大),物永 斉,伊藤 雄一(青山学院大)
SenseDesk:重心重量によりユーザの状態推定が可能なデスクの開発 (140)

コロナ禍における企業のテレワーク化が進む中,社員の労働状況を確認するために,様々な手法が提案されている.しかし,例えばカメラ等による監視システムでは,過度な監視から社員に心理的ストレスを与えてしまう課題がある.そこで本研究では,机上にかかる圧力から重心位置と重量を取得するデバイス,SenseDeskを開発した.そして,8種類の机上で行う作業を設定し,それぞれの作業における重心・重量を取得し,機械学習を用いて識別し,性能評価実験を行った.

三津谷 海度,伊藤 弘大(青山学院大),藤田 和之(東北大),岸 楓馬,福島 力也(阪大),伊藤 雄一(青山学院大)
オンライングリーティングにおける視線でのコミュニケーションを支援するシステムの提案 (199)

新型コロナウイルス感染症拡大により,アイドルなどの握手会やサイン会はオンライン化した.画面越しでのコミュニケーションは,カメラとモニタの位置の違いによって視線が合いづらくコミュニケーションの円滑さが損なわれることが問題点として挙げられる.本稿では,Webカメラの映像を画像処理してファンの顔の動きを検出し,カメラとモニタの位置と方向を制御することで,画面越しでも自然に目が合う円滑なコミュニケーションを支援するシステムを提案する.

又吉 夏生,松本 侑樹,横山 街,栗原 渉,有山 大地,韓 旭,串山 久美子(東京都立大)
サイバー空間における避難誘導アプリによる避難時間短縮の分析 (066)

本研究では,土砂崩れや豪雨による災害が発生した場合に,避難者が屋内から迅速に避難することを支援する. Beaconとスマートフォンが連携し,立ち入り禁止エリアをアイコンと音で通知することで,迅速な避難誘導を可能となる避難誘導アプリ「V-Wall App」を提案する.Virtual Wall(仮想的な壁)による避難誘導の効果を検証するため,模擬環境をサイバー空間(仮想空間)に構築し避難時間を計測した.実験の結果,V-Wall App(Virtual Wall表示済+音通知OFF)の平均避難時間が最も短いことが明らかとなった.

山上 誠人(福山大),黒木 春樹(北陸先端大),池岡 宏(福山大),中道 上(福山大/アンカーデザイン)
拡張現実感技術に基づくメタAR空間構築のためのマッピング支援機構の開発 (125)

現実空間をデジタル空間上に再現するための3次元空間構築技術は,様々な場面での活用が期待されている.本研究の目的は,現実空間から疑似的に構築された仮想の3次元空間を用いて,現実空間と仮想空間の間でのインタラクションを実現することである.そのための空間をメタAR空間と呼ぶ.メタAR空間の構築には,ARKitから取得した3Dメッシュモデルの各ポリゴンにテクスチャを割り当てるメタAR空間構築処理を実現する必要がある.ここで,ユーザによるメタAR空間構築処理のための作業をマッピングと呼ぶ.マッピングにおいてユーザは,LiDARスキャナやRGB-Dカメラを用いて現実空間を取り込む.ここでの課題として,マッピング中のユーザは,現実空間が過不足無くマッピングされているかを知ることができないという点が挙げられる.すなわち,ユーザにとってマッピングを終える適切なタイミングがわからない.その結果,マッピングが不十分であったり,必要以上に丁寧なマッピングによる作業時間の長時間化という問題が生じる.本研究では,マッピングされていない場所をリアルタイムに可視化することが可能なマッピング支援機構を実現することでこの問題の解決を目指す.本稿では,メタAR空間の構築手法およびマッピング支援機構について述べる.

安江 洸希,菊地 真人,大囿 忠親(名工大)
トレーディングカードゲームにおける 画像認識と拡張現実を用いたゲーム処理 (176)

本研究は,リアルカードを用いたカードゲームという視覚的に捉えることが困難なゲームを画像処理と拡張現実の技術を用いることにより,視覚的な補助を加え,エンターテインメント性を高めるシステムを提案するものである.このシステムでは,画像認識技術を用いて読み込んだカードを,拡張現実によって可視化する処理を行うことにより,リアルカードを用いたトレーディングカードゲーム対戦を,より視覚的に把握できるものである.本システムを用いることによって,リアルカードを用いたトレーディングカードゲームの対戦において,プレイヤー同士だけでなく,観戦者もゲームの進行を把握しやすくなることが期待される.

鈴木 恵梨奈,流山 優,宮沢 祐希,川合 康央(文教大)
電子ペーパーにおける電子ペン描画の高速化 (054)

電子ペンを画面の上で使用すると,電子ペン先と表示の差を感じやすいことが知られている.電子ペーパー(EPD)で電子ペンを使用するには,より高速に描画することが求められていると考え,EPDの特有の処理を調査し,システム設計・試作を行った.画像処理Intellectual Property core (IP)を併用することで,500MHzシングルコアCPUでも,高速描画可能なシステムが構築できたと考える.

宮澤 寛(ワコム)
ゲームエンジンを用いた水害シミュレーションの提案 (151)

相模川を対象として, 3次元地理モデルを用いた豪雨時における河川水害シミュレーションを行った.水害の浸水域の再現について,粒子法及び格子法を用いて,ゲームエンジンUnity上で実装した.本稿では,主として流体再現の手法構築とその比較を行った.



武谷 龍,内藤 大喜,川合 康央(文教大)