フィジカルディスタンス誘発システムのプロトタイプ開発と簡易検証 (113)

COVID-19感染防止のための行動制限が長期化していることで,特に対面での提供が主となるサービス業ではフィジカルディスタンスを徹底するための対策に人的コストがかかるだけでなく,行動規制を余儀なくされる利用者にとっても心的ストレスを与えている.本研究では,人流計測・解析技術を用いた,行動と連動して投影映像と音響を変化させたマルチモーダルなインタラクションによって,待ち時間の演出と行動誘発を促すプロトタイプを開発した.簡易実験により,フィジカルディスタンスを保つ行動誘発と心的ストレス軽減を両立できる効果を確認した.

徳永 竜也,福原 聖人,安野 瑞起,永田 真斗,淺原 彰規(日立製作所)
空間音響を用いた仮想的な方向感が付与された音が通知の記憶性に与える効果 (166)

人々はPCやスマートフォン等のデバイスから画面中のポップアップや音,振動を用いた通知を介して情報を受け取る.音による通知は視覚情報が占有される作業を行っている際に,その妨げになりにくいという特徴を持つ.既存の研究は,音による通知において,音を聴いて即時的に何の通知であるかを弁別できることや音と情報を対応づける学習性を向上させる音の質的性質の設計に着目されてきた.これに対し,本研究では何らかの作業下における音による通知を想定した時,作業中に何の通知を受け取ったかを記憶しておくことで効率的に作業を行えるのではないかと考え,音による通知において記憶性を高めることに着目した.我々はワーキングメモリに関する知見を考慮し,記憶性を高めるアプローチとして通知に用いる音に仮想的な方向感を持たせる手法を提案した.本研究では実際に仮想的な方向感を持った通知が記憶性を向上させるかどうかを検証するための実験を行った.実験において,方向感を持つ通知と持たない通知で比較を行った.仮想的な方向感を持った通知は記憶性を向上させる可能性が実験によって示された.

飯塚 陸斗,川口 一画(筑波大)
鬼剣舞の練習を支援するシステムの提案 (168)

日本の様々な地域で古くから民俗芸能が伝承されているが,昨今の情勢により伝承の形が変化し始めている.道場に赴いて練習をする機会が減り,代わりに,インターネットにアップロードされている動画を参考にするなどして,自宅で練習する機会が増えた.しかし,動画を参考にして練習する方法には,練習者が踊りを間違って解釈してしまいかねないという課題がある.そこで,本研究では,動画媒体を用いて鬼剣舞の踊りを適切に習得するための練習支援システムを提案する.このシステムは,練習者の踊りと練習に用いる動画内の踊りを比較し,2つの踊りの差異を練習者にフィードバックする.本稿ではシステムのコンセプトと実装を紹介する.

近藤 勝伍,塚田 浩二(はこだて未来大)
Otonona: マルチモーダルな拡張現実を用いた絶対音感体験の提案 (101)

絶対音感は一部の人が6歳頃までに身につける能力である.程度に差はあるものの,この能力を持つ人は一般に音の名前を言い当てることが出来ると言われている.これは音楽の理解に役に立つ可能性のある能力だが,大人になってからの訓練で身に付けることは難しい.そこでマルチモーダルな拡張現実を用いて絶対音感を体験するためのシステムOtononaを提案する.


岡 あゆみ,栗原 一貴(津田塾大)
PartsSweeperを拡張した部品整理手法の提案 (118)

本研究は,先行研究である「PartsSweeper」を拡張し,実用性の向上を図る.PartsSweeperは,工作机の裏に磁石を設置して動かすことで,机上に散乱しやすい部品/工具等をさりげなく移動・整理するシステムである.一方,机上のゴミ等の非磁性体の移動や,部品や工具の細やかな分類には課題が残っていた.本研究では,こうした課題を解決するために,非磁性体を移動するための拡張パーツや,天板へのテクスチャ付与による分類手法を提案する.

阿保 信宏,塚田 浩二(はこだて未来大)
遠隔授業における3Dアバタと相槌の強調表現を用いた意思表示インタフェースとその検証 (114)

オンラインミーティングツールを利用した同時双方向型遠隔授業における,学生-教員間・学生間の相互作用促進のため,3Dアバタによる動作の可視化と,表情の重畳と背景色の変更による相槌の強調を行う.テキストベースの機能と比較したとき,提案インタフェースは相互作用を説明する概念である社会的存在感や,授業の満足度を向上することができるという仮説を検証する.実験として,テキストチャットやスタンプ機能,提案インタフェースを利用した模擬授業を実施し,社会的存在感と授業の満足度について質問紙調査を行った.検定結果によると,スタンプ機能と比較して,一部の項目を除き社会的存在感と授業の満足度の向上が示された.テキストチャットと提案インタフェースでは有意差はなかったが,項目平均値は提案インタフェースが一部の項目を除き上回っていた.

長尾 優花,北野 圭介,大島 登志一,望月 茂徳(立命館大)
身体運動による英語リズムの学習支援システムの開発 (187)

多くの人が第二言語として世界標準の言語とされる英語を学習する.その英語の発音指導の目標は,時代とともに変化しており,現在は明瞭性が重視される.発音の要素のうちリズムの学習では,母国語と異なるリズムである場合困難を伴う.本研究では,コンピュータを用いた方法による英語のリズムを身につけるために効果的な学習方法の実現を目指して,身体運動による英語リズムの学習支援システム「リズワン」の開発を行った.リズワンは,英語の音響的な非等時性に着目し,英文の音読とともにその強勢部分で身体の揺れの動きを連動することによって英語のリズムの学習支援を行う.

瀬川 りさ,鈴木 優(宮城大)
一人称ライフログ映像からの興味領域の切り出し (106)

本研究は,胸に装着したカメラの映像から,装着者の興味領域の切り出しを実現することが目的である.人が日常の気づきに対して行う,指さし行為や頭部運動のような無意識の非言語行動とパターンに着目し,ユーザの興味との関係性について究明を行う.この関係性を明らかにすることで,興味を持ったものについて意識的に記録を行うことなく,ユーザの興味が表出したシーンを判別し,それを切り出すことができる.実世界の対象を切り出すことで,ユーザ自らが興味を持った部分を効率的に思い出すことに活用できる.本研究の独自性は,広角一人称映像を利用することで,カメラ1台で記録が完結し,非言語行動をヒントにして,ユーザの反応に基づいたシーンの推定が可能であるという点である.

久米田 羽月,角 康之(はこだて未来大),Hwang Dong-Hyun,小池 英樹(東工大)
逃げるロボットの揺れによる印象変化の検証 (103)

ロボットが高い利便性を持つと人はロボットに対する要求水準をエスカレートさせてしまう.人のロボットに対する寛容さやレジリエンスを高めるために,ロボットの弱さや生き物らしさが感じられる場面が必要である.人がロボットの逃げる行為に対して意図を感じることが明らかになっている一方で,移動の際に生じるロボットの揺れによる印象変化の有無が明らかになっていない.そこで本研究では逃げるロボットに意図的に揺れる機能を実装し,それがロボットの印象を変化させるものに値するかを確かめる.揺れの有無と頻度の違いによる印象の変化を「生き物らしさ」「好ましさ」「知性」の3項目群に分類したアンケートにて評価した.その結果,逃げるロボットの揺れは生き物らしく,知性が低い印象を人に与えることを明らかにした.

仁藤 大貴,串山 久美子(東京都立大)
オンライン動画コンテンツに対するボイスコメント合成再生システムの開発 (194)

本研究は,あらかじめ録画されたオンラインによる音楽ライブなどの映像コンテンツに,視聴者の掛け声や歓声,コメントなどのボイスコメントを追加し,複合した音声コンテンツを作成・再生するシステムを開発したものである.試作したシステムでは,音声コメントの重なりやノイズ,合成される音域の大きさなどにより,聞き取りにくいケースがあることが明らかとなった.そこで本稿では,ボイスコメントを加工処理することによって,音声情報の明瞭度を向上させることができるかについて検討を行うこととする.

田村 和也,川合 康央(文教大)
経路上設置情報を用いて夜間避難時の迷いを低減する情報投影システムの提案 (138)

近年,南海トラフ地震などの大型地震の発生が懸念される中で,熊本地震や大阪府北部地震など様々な地震が発生し,多くの被災者が出た.本研究は,災害時の夜間避難,特に地震発生時の土地勘のない場所での夜間避難に注目する.このような状況で,投影装置を用いて懐中電灯のように足元を照らしつつ,同時に投光範囲に避難情報を投影し避難者に避難情報を提供することで,避難を安全かつ迅速に行うための手法を提案する.さらに,本研究ではGPSによる位置測位に加え,避難経路上に設置された位置情報を取得することで,従来よりも避難情報の提供を早め,避難時の迷いを低減する手法を提案し,情報投影システムの開発を行った.

大塚 彩秀菜,塚田 晃司(和歌山大)
Gravity Space : VRHMDで体験する重力をテーマとしたインタラクティブ・アート (230)

空間に制限がなく,自由に移動することができるVR空間の特徴を活かしたインタラクティブアート《Gravity Space》を制作した.《Gravity Space》ではプレイヤーが質量を持った「星」を出現させ,その「星」が互いに重力を受けて動く様を軌跡によって表現する.軌跡の集合体を,参照画像の色彩で彩ることも可能である.VRHMDを用いて19人に実際に体験してもらい,アンケート結果を考察した.


猪原 拓実,児玉 幸子(電通大)
児童が書いた文章の内容把握を支援するインタフェースの提案 (087)

教員は児童が書いた文章をもとに自身の授業を振り返り,授業構想やグループ活動の編成を考えることがあるが,記述内容を確認・把握し,これらを行うことは容易ではない.本稿では,各児童の記述内容や,似た意見や考えを持っている児童の把握を支援する対話インタフェースを提案する.具体的には,児童が書いた文章の内容を解析し,ネットワーク図と座席配置図という2つのインタフェースを用いて提示し,教員が記述内容の全体傾向を把握したり,記述内容に基づいて児童をグルーピングしたりすることを容易にすることを目指した.現職教員を対象に評価実験を行った結果,実際の教育現場での活用,特に教員がねらいとした内容が書けている児童を見つける際に有用である可能性が示唆された.一方,一部のインタフェースについて,更なる改良の余地があることが明らかになった.

松原 未和,加藤 直樹(東京学芸大)
ChaChatButton: 聴講者からのフィードバックをリアルタイムに反映するチャットボタン (137)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により,オンラインによる学会発表や授業が急増している.オンラインによる学会発表や授業はどこからでも参加可能であるという利点がある一方で,発表者が聴講者の反応をリアルタイムで知ることができず,発表しづらかったり,授業を展開しづらかったりする問題がある.そこで本稿では,聴講者からのフィードバックをリアルタイムに反映できるシステム「ChaChatButton」を提案した.学会発表で実践した結果から,発表者側が聴講者の反応をリアルタイムで知りながら発表することができ,かつ聴講者側もコメントや反応することへの抵抗感を和らげたことが示唆された.

越後 宏紀,阿部 花南,武井 秀憲,五十嵐 悠紀,小林 稔(明治大)
新聞記事との出会いを促す言葉遊びゲームの試作 (072)

数あるメディアの中でも,新聞には話題の多様性や信頼性,一覧性など多くの利点がある.それにもかかわらず近年は様々なニュースメディアが提供されていることもあり,購読者数は減少している.そこで我々は,北海道新聞社の協力を得て過去33年間の新聞記事データを活用し,新聞記事との新しい出会いの場を作り出すべく日常的に遊べる言葉遊びのスマホゲームを試作した.言葉データの素材として新聞記事から年度ごとの特徴語を抽出して利用することで,言葉遊びを通して過去の北海道の時事ニュースやトレンドワードの背景に触れる機会の演出を試みた.被験者実験を行ったところ,ゲームの面白さや没入感は受け入れられその一環で新聞記事への出会いをある程度は達成できた一方で,単語自動抽出に起因した問題や新聞記事への誘導のタイミングについての課題を得た.

日置 竜輔,岩上 慎之介,田中 龍仁,保土沢 朋和,伊藤 太一,小山内 魁人,中川 翔真,金澤 快飛,服部 俊紀,寺沢 憲吾,美馬 のゆり,角 康之,坂井田 瑠衣(はこだて未来大)
流体表現を用いた横浜駅周辺の津波シミュレーションについての提案 (162)

日本では大きな地震が頻発しており,それに伴う津波によって大きな被害を被っている.近年では,南海トラフ地震による津波が危険視されており,各地で対策が行われている.本研究では,AIベースのリアルタイム流体シミュレーションプラグインであるZibra Liquidsを使用して,より現実に近い津波シミュレーションを行ったものである.対象地区として,神奈川県横浜市横浜駅周辺を選定し,シミュレーションを行った.横浜駅周辺の3Dモデルは,国土交通省がオープンデータとして提供しているPLATEAUを使用し,現実に近しい状況を再現している.

稲垣 誠,川合 康央(文教大)
モバイル端末を用いたゲイズトラッキング方法の開発 (133)

人間の知覚は主に視覚に基づくため,実世界の様々な事象を評価・計測するためにアイトラッキングは利用されている.アイトラッキングデバイスには,カメラ型や眼鏡型などいくつかの種類がある.しかし,これらの機器は持ち運びが困難であるため,効果測定が可能な範囲は限定的である.また,アイトラッキングのための専用機器は一般的に高額であり,その測定方法も簡便とは言い難い.本研究では,これらの問題を解決するため,タブレット端末を用いたアイトラッキングツールを開発し,あらゆるシーンで簡単に使用できるシステムを開発した.開発したシステムは,その精度を測定し,実際の使用に耐えうるよう調整した.

副島 拓哉,川合 康央(文教大)
研究者が利用しやすいオープンなスポーツゲームの試作 (074)

我々はビデオゲームを用いた研究に利用しやすいオープンビデオゲームライブラリを開発している.本論文ではオープンビデオゲームライブラリのゲームの1つとして,テニスゲームを試作した.またテニスゲームを開発するにあたり,テニスゲームがどのように研究に利用されているかということや,市販のテニスゲームがゲームとしてどのようにデザインされているかを調べた.それらの結果をもとに,テニスゲームに必要とされる最小限の構成要素でゲームをデザインした.

飯田 和也,岡 拓也,川島 拓也(明治大),簗瀬 洋平(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン),渡邊 恵太(明治大)
主観的視点に基づく物理量の表現 (055)

本研究で提案するゲームは,キャラクターの大きさを変えることにより物体の物理量を間接的に変化させクリアする謎解き脱出ゲームである.ゲームの舞台をキッチンとし,「時間」「長さ」「質量」「温度」「物質量」「光度」をテーマとした7つのステージで構成される.ここでは,三人称視点によるキャラクターサイズの変化がどのように質量・物質量・光度に変化を与え,ステージクリアのギミックとしたかについて説明する.


関口 有希,松永 康佑(札幌市立大)
測域センサを用いたプログラミングシステムの考案 (046)

小学校でプログラミング教育が必修化されたことから,プログラミング学習の低年齢化が進んでいる.論理的思考力が鍛えられるカードゲームやボードゲームは市場に多数あるが,文字が読めない未就学児でも楽しめるようなプログラミング学習のシステムは数少ない.そこで,本研究では,未就学児でも,プログラムの基本となる処理が学べるプログラミングシステムとして,床面に投影された操作画面上を歩いたり,立ち止まったりしながらプログラム文が作成できるシステムを構築した.

山光 栞(日本女子大),和田 史彦,川西 崇史,嶋地 直広(北陽電機),小川 賀代(日本女子大)