Thenar-First: 母指球による押し込みを開始符号としたジェスチャ操作 (122)

タッチパッドにおける親指を用いた入力の語彙を拡張するジェスチャ操作であるThenar-Firstを示す.Thenar-Firstはユーザの母指球によるタッチパッドへの押し込みを開始符号として利用する.そのため,ユーザはキーボードのホームポジションに指を置いたままThenar-Firstを実行できる.これにより,ユーザは文字入力,ポインティング,ショートカット入力,カーソル移動,スクロール,およびズームの全てをキーボードのホームポジションから指を離すことなく途切れずに実行できる.本稿では,Thenar-Firstにて実行できる入力を示すとともに,Thenar-Firstを実際の作業場面においてどのように使用するかの具体例を述べる.

髙倉 礼,鈴木 健介,志築 文太郎(筑波大)
CARAMEL:電子ブロックと投影型ARを用いて電気の基礎を学ぶインタラクティブ理科教材の研究 (169)

本研究では,電子ブロック式のユーザインタフェースと机上への投影を組み合わせることで,ユーザが電子回路を組んで,その電流や電圧の挙動を視覚的に学べる教材としてMR型電子ブロック『CARAMEL』の開発を行った.この教材では,回路内での電圧の変化や電流の量,方向といった実際には見ることができない現象を可視化することにより,理解を促進させる教材の実現を目的としている.ユーザは,市販のレゴブロックに電子部品を組み込んだブロックを並べることで実際に電子回路を組むことができる.さらに,組んだ電子回路と同期して電流と電圧の挙動をシミュレーションし,ブロックの上にその状況を投影する.

渡邉 竜,大島 登志一(立命館大)
自動車内の状況を反映可能なスマートステッカーの提案 (214)

走行中の自動車内の状況を歩行者や他の運転者に伝えることは難しい.自動車用のステッカー,特に初心者マーク/高齢者マークや「赤ちゃんがのっています」マーク等は,車内の様子を知る助けとなる.一方,これらはリアルタイムの状況を反映しているものではないため,運転者の体調や緊張度等を車外から推察することは難しい.そこで,本研究では車内の状況に応じて動的に変化するスマートステッカーを提案する.このシステムは,自動車のリアガラスにLEDマトリクスを内蔵したスマートステッカーを配置する.次にスマートフォンやスマートウォッチと連携することでドライバーの状態など車内の状況認識を行う.こうした認識結果に応じて,ステッカーの表示内容を動的に変化させることで,車内の状況を伝達する.

佐藤 佑亮,塚田 浩二(はこだて未来大)
演者不在状況での空間的パフォーマンスを可能にする可動ディスプレイとその動作システムの提案 (049)

演劇やパフォーマンスといった舞台芸術を,リアルタイム・アーカイブ映像の配信によって上演する場合,観客が目にするものは実質的に二次元のディスプレイであることが主流である.本研究では距離センサを備えた可動ディスプレイを演者の身体に見立てることで,二次元の映像ソースを利用するも空間的なパフォーマンスを可能にするシステムを提案する.また,このシステムを用いたパフォーマンス作品を制作し,上演回によって異なる空間演出になることを観察と観客に対するアンケート調査から確認した.

松橋 百葉,星野 良太朗,脇田 玲(慶大)
身近な情報機器への入力に経験や知識から推測される内容とは異なる出力を提示するインタラクティブな擬似出力手法 (100)

身近な情報機器が高度化・複雑化するにつれ,一般のユーザにはその仕組みが益々わからなくなり,さらには注意を払わなくなりつつある.筆者らは,ユーザに敢えて身近な情報機器での自分の入力に対する出力に確信が持てなくなる体験をしてもらうことで,自然と対象の仕組みに注意を向け,思いを巡らすのではないかと考える.そのためには本来はあり得ないはずだが,あり得るかもしれないと勘違いしそうになる出力,即ち擬似出力の手法が有効であると考え,人がこれまでの経験から推測しやすい状況を敢えて作った上で,ユーザの入力に対して推測した状況では本来起きないはずのことを生じさせる手法,逆に本来起きるはずのことを生じさせない手法,達成される機能が似ている道具の入力に機械の出力を同期させる手法の3つのインタラクティブな擬似出力手法を提案する.本稿では各擬似出力手法の具体事例として,遠隔地ライブ配信を模したタブレット上の映像にタッチでインタラクションができる,周期的に動く物体のライブ配信を模したPC上の映像が物体操作後にずれる,用途が類似するアナログな文房具の入力とファブリケーション機器の出力を同期させる,という手法を実装した.さらにユーザスタディを実施して3つの手法であり得る,あり得ないと感じる度合いが変わることを確認した.

小泉 篤志,橋田 朋子(早大)
筋電位計測に基づくハンドジェスチャ入力の精度特性分析 (218)

筋電位計測のユーザインタフェース(UI)への利用が期待されている.筋電位による入力は,大きな身体動作を必要とせずに,ヒトの筋活動に基づいてインタラクションが行えるという利点がある.従来研究でも,この利点を活かしたインタラクション方法や,ジェスチャ認識方法などが幅広く検討されてきた.しかし,筋電位計測から得られる力の強さを入力として利用する研究が見られる一方で,ヒトが力の強さをどの程度正確に制御できるのかについては詳しく確認されて来なかった.そこで本研究では,筋電位を利用して力の大きさを入力する際の精度を確認するためのシステムを構築した.そして,複数のハンドジェスチャによる入力精度の比較実験を行い,その精度特性を分析した.

野﨑 颯人,片岡 佑太,柴田 史久,木村 朝子(立命館大)
先端伸縮型仮想物体接触デバイスExtickTouchへの水平移動に対する抵抗感提示機構の導入 (156)

VR (Virtual reality;人工現実感)において,表現力豊かで汎用的な触力覚を提示するデバイスの実現は重要課題である.しかし,視覚や聴覚情報に比べて,触覚情報は提示できる情報が限定されており,未だ発展途上である.我々は,仮想物体に触れた際に得られる接触感の再現を目的とし,それを実現するデバイス「ExtickTouch」の研究・開発を行ってきた.このデバイスは仮想物体に触れる際にその表面に合わせてデバイスの先端が伸縮することで,仮想物体との接触感を提示している.しかし,既開発のデバイスでは,伸縮方向と垂直な方向への力の提示が困難であるという問題があった.そこで本稿では,ExtickTouchの表現力向上を目標に,デバイスの水平方向への移動に対して抵抗を発生させるブレーキ機構を導入し.これにより仮想物体との接触時に伸縮方向に垂直な方向への接触感提示が可能となったのでこれを報告する.

林 佑一,柴田 史久,木村 朝子(立命館大)
視線での興味関心推定による物件おすすめ提案システムの検討 (155)

現在の物件情報システムには,システム操作時の負担などの課題がある.そこで,物件情報システムに視線による興味関心推定の適用と自動化システムによる新たなUIデザインを提案する.提案手法の効果を検証するため,ユーザー実験によるユーザビリティ評価を行った.実験では,従来型の手動システム・自動システム・視線計測を用いた自動システムの3種類のシステムを作成し,評価対象とした.実験の結果,システムの自動化でユーザーの操作負担は低減できたものの,提供する情報の見やすさが低下してしまう結果となった.これらの結果を踏まえ,UIデザインの改善を行うことで提供する情報の見やすさについては,改善可能であると考えられる.

富田 智晶,山崎 梓織,鈴木 雄介,赤津 裕子(沖電気)
陰を利用した人物イラストと背景画像の自動調和システム (215)

本論文では,陰を利用した人物イラストと背景の自動調和システムについて述べる.近年,趣味でイラストを描く人が増えている.その中でも人物イラストは多くの人に描かれている作品の一つである.人物イラストは背景を追加することでより魅力的に見せることができるが,背景制作には手間がかかる.また背景を描いたとしても,人物イラストと背景が調和していなければ,人物イラストを引き立たせることはできない.そこで我々は,背景を描く代わりに一枚の写真を用いる技法を採用し,「陰表現を利用した人物イラストと背景の自動調和システム」を提案する.入力された人物イラストに対しては陰の追加・色の調整を行い,背景画像に対してはぼかしを入れることで調和させていく.陰の追加には光源特定が必須であるため,輝度と色から光源を特定して処理を行う.

小瀬 将史,片山 泰輔,豊田 麻友,牧野 貴斗,濱川 礼(中京大)
管楽器中級者を対象とした色彩表示による音程可視化・モチベーション維持システムの提案 (089)

広く普及しているチューナーを使用して練習を行うと,楽譜とチューナーを視線が行き来するため,これが合奏中にタイムロスとなる可能性がある.また,チューナーの目盛りで自身の音程を把握することはできるが,自身が苦手とする音を把握することは困難である.加えて,過去から現在までに自身の音程がどの程度改善されてきたかも把握できない.そこで本稿では,音程のずれの大きさを色相に変換して楽譜上に表示し,過去から現在までの音程のずれの大きさの平均値の推移を可視化するシステムを提案する.本研究では,このシステムの妥当性及び評価実験の手法を確立するために予備実験を行った.その結果,提案手法を用いた場合に音程のずれが改善された傾向は見られなかったが,従来手法と比較して音程がずれた箇所を重点的に練習する傾向が見られた.今後は予備実験の結果を踏まえて,評価実験を行う予定である.

関根 美幸,伊藤 正彦(北海道情報大)
シリンジ操作を可能にする対称性を考慮した8自由度ワイヤ駆動型力覚提示装置の試作 (136)

本研究では,シリンジ操作を可能にする8自由度ワイヤ駆動型力覚提示装置の提案を行う.空間的な対称性を考慮した合計12本のワイヤにより,エンドエフェクタの並進・回転の6自由度の力覚提示のみならず,シリンジのプランジャーの操作を並進と回転の2自由度として,合計8自由度の力覚提示を実現することを目的とする.実際に試作機の製作を行い,剛体物理シミュレーションにより構築されたVR空間において,剛体操作を行うVR環境を構築した.

赤羽 克仁(東工大)
命のぬいぐるみ:サファリパークオンラインツアーの視聴体験拡張のための動物呼気再現システムの提案 (085)

動物園やサファリパークなどに訪れてもライオンやクマなどの触れられない動物が存在する.また,サファリパークなどが提供するオンラインツアーでも間近で動物を見ることができるが,動物に触れるという体験はできない.しかし,動物を実際に見て触れる体験から動物の生命を実感することは,動物を理解する上で重要である.そこで本研究では,サファリパークにおけるオンラインツアーにおいて動物に触れる疑似体験を提供するぬいぐるみの開発に取り組んだ.開発したぬいぐるみの性能調査を実施したところ,1分間の呼吸数の違いは再現できたが,肺の膨らみによる動きの違いは再現できていないことがわかった.また,開発したぬいぐるみに実際に触れてもらい,アンケート調査を実施した.

辻 美祝,竹川 佳成(はこだて未来大),松村 耕平(立命館大),平田 圭二(はこだて未来大)
人間との協調作業が可能な屋内外対応ゴミ回収支援ロボットの開発 (052)

掃除に関するロボットの利用においては,室内の集塵を行うロボット掃除機が既に普及しており,アームを使ってゴミを回収するロボットなども研究されている.しかし,ロボットによってゴミと判定された物体が人間にとってもゴミなのかを判別しなければ必要な物品が廃棄される恐れがある.そこで本研究では,人間との協調作業が可能な屋内外対応ゴミ回収ロボットを提案する.このロボットはペットボトルや缶のようなゴミを人間と協力して回収することができる.具体的にはロボットが指定された場所に移動して物体を検出した後,検出された物体に対して距離と位置の計測を行い,物体を把持・視認しやすい位置に自律移動する.そしてその物体がゴミなのか否かの人間の指示に基づき回収するものである.動作確認の結果,人間とロボットの協調的なゴミ処理作業ができることを確認した.

堀本 大翔,宮脇 健三郎,西口 敏司(大阪工大)
方向提示を目的とした熱刺激を用いた首輪型デバイス (111)

触覚によるフィードバックを用いることで,騒音下や画面に注視していない状態でも情報を受け取ることができる.このことから,触覚フィードバックを用いて,誘導や通知を行うデバイスが多く登場している.しかし,道案内などで方向を提示する場合,振動でのフィードバックや手や指に装着するデバイスでは,正確な方向をユーザーが認知できないことがある.本研究では,熱刺激を首に与えることで,歩いている状態でも正確な熱刺激の方向をデバイスの装着者に認知させることを目指す.そこで,熱刺激を与え方向を認知させる首輪型デバイスを提案し,実装を行った.首周りの認識精度の検証や,手首に熱刺激を与える場合の認識精度と比較をするため,提案したデバイスを用いて,座っている状態と歩いている状態の2つの条件で実験を行った.実験の結果,首輪型デバイスで,手首にデバイスを装着した場合と同等の認識精度を得られることが分かった.

植田 健斗,真鍋 宏幸(芝浦工大)
ダミーカーソル実験におけるカーソルサイズが自身のカーソル特定にもたらす影響 (070)

複数の同じ色形のカーソルから「自身の」と感じるカーソルを探索するダミーカーソル実験がある.本研究では,ダミーカーソル実験においてカーソルサイズが自身のカーソル特定に影響を与えるか調べた.また,その結果からダミーカーソル実験に適したカーソルサイズを考察した.実験の結果,ダミーカーソル実験において適切なカーソルサイズは5cmであることがわかった.


辻本 幸輝,山岸 丈留,安中 勇貴,相澤 裕貴,渡邊 恵太(明治大)
ゲームエンジンを用いた実世界走行環境に基づく自動車ドライビングシュミレータの研究 (184)

我が国の現代社会では,自動車の必要性は高く貨物の運搬や緊急時の移動,遠方への移動等に自動車はあらゆる場面で利用されている.最近では,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により鉄道やバス,タクシー等の公共交通機関三密による感染を避けるため,通勤や通学などに自動車を利用する傾向が見受けられる.その一方で,自動車の利用者が増加することにより交通事故の発生リスク向上が懸念されている.これまでにも交通事故の低減を目的としたドライビングシュミレータは多く提供されているが,それらは,ドームスクリーンやプロジェクタなどを搭載しているものであり,非常に高価なものとなっているため,個人や地域等で手軽に使用することは難しく,ドライバの注意力や集中力の向上意識を普及させることは困難である.そこで,本研究では,ゲームエンジンやオープンデータ等を活用し,手軽に扱うことのできるドライビングシミュレータの開発をする.

齊藤 真生,宮本 華帆,川合 康央(文教大)
ハイブリッド型勤務においてオフィスのたまり場を拡張する接続環境の非対称性を考慮したアウェアネス支援システム (225)

企業において,知識共有のためにワーカー同士のカジュアルな交流が重要視されている.一方,近年の働き方改革やコロナ禍の影響によって出社と在宅勤務を選択できるハイブリッド型の勤務形態が増加している.出社しているワーカーと在宅勤務者間のコミュニケーションの溝を解消するために,オフィス内のたまり場を拡張し,在宅勤務者が社内の交流にオンライン参加できるシステムを開発した.オフィスと個人宅という場所の非対称を考慮の上,配信するアウェアネス情報(たまり場側:映像,在宅勤務者側:状態を表すテキスト)を設計し,プライバシーの保護と興味の喚起という観点でこの設定が有効であるかを調査した.実際の企業内のたまり場を対象にした実験の結果,プライバシーの観点では問題がなく,興味の喚起のためにたまり場の音声情報が重要であるという示唆を得た.

村尾 侑哉,柴田 有紀奈,増田 慶士郎,高島 健太郎(北陸先端大)
EULIKO:中国人日本語学習者のカタカナ語回避現象を改善する日本語学習システムの提案 (086)

日本で学ぶ中国人留学生の人数が増加しており,日本語学習の支援をする必要がある.中国人の日本語学習者にとって難しいことの1つが,外来語をカタカナ表記したカタカナ語の習得である.学習者がカタカナ語と,同じ意味の非カタカナ語の日本語の両方を知っている場合,カタカナ語の使用を避ける回避現象がしばしば見られる.この問題を改善するために,カタカナ語学習支援システムEULIKOを提案する.このシステムは,入力された文章の形容詞・名詞・動詞をカタカナ語に変換し,カタカナ語だらけの文章を生成して利用者をカタカナ語漬けにするものである.このように学習者に負荷をかけることで,カタカナ語に対する苦手意識を軽減させることにより,カタカナ語の回避現象の改善を試みる.本稿では,提案システムの概要と,現在進行中の実験の方法について述べる.

邸 冲,劉 俊,高島 健太郎,西本 一志(北陸先端大)
エージェントの感情と社会的評価プロセスの可視化 (130)

感情表現は,物理的環境と社会的環境の両方を反映した感覚入力を評価した結果,表情などとして現れる.感情表現の観察者は,逆評価をすることで感覚入力がどのように評価されたかを解読し,他者の意図を推論する.しかし,逆評価は,同じ感情表現が異なる状況で生成されることや,同じ状況でも個人差によって感情表現が異なることから,逆問題となる.この問題を克服するためには,個人が適切な評価モデルを持つ必要がある.その為,他者の心的状態を理解することが困難な自閉スペクトラム症者などでも,適切な評価モデルの獲得をできるように訓練できるインタフェースが求められる.そこで,本研究では感情的評価過程を可視化したインタフェースを開発した.このインタフェースによって社会的スキルが獲得できるかどうかを調査することが今後の課題である.

佐藤 幹晃,寺田 和憲(岐阜大)
Real から Virtual への移動システムの実現の試み (053)

概要:Realな「物」を,その内部構造も含めてVirtualな世界に移動(正確にはコピー)するシステムの実現を試み,一部成功したことについて述べる.対象となるRealな「物」は,規格化された知的部品を組み立ててできた「物」に限定する.この「物」を構成する部品は,お互いに通信が可能であり,また,お互いの相対的な位置や向きの関係も知ることができるようになっている.知的部品がお互いに情報交換することにより,この「物」自体が自分で自分の構造の情報を知ることができるようになっている.この情報を外部に吸い上げ,Virtual空間上でRealな「物」と同じ物を構築することにより,この移動が実現する.ステレオカメラやレーザースキャナなどを利用した入力装置は表面上の形や色の情報しか入力できないのに対して,ここで試みた方法は,内部の構造の情報も入手できる.CTスキャナやMRIは,内部の構造の情報も入手できるが内部の機能の情報は一部しか入手できないのに対して,ここで試みた方法は,内部の機能の情報も入手できる.また,CTスキャナやMRIは対象物より大きなものになってしまうが,ここで試みた方法は対象物そのものが,自分の情報を取り出す.なお,Realな世界にあった「物」を破壊することにより,このコピーは実質的な「移動」になる.

山之上 卓(福山大),筒井 保博(福岡産業保健総合支援センター),筒井 隆夫(産業医科大)
Kiite Cafe: 同じ楽曲を同じ瞬間に聴きながら楽曲に対する気持ちを伝え合う音楽発掘サービス (002)

本稿では,人々がWeb上で集まって同じ瞬間に同じ楽曲を聴きながら,リアルタイムにコミュニケーションが取れるWebサービスである,音楽発掘カフェ「Kiite Cafe」を提案する.このWebサービスでユーザが楽曲を聴取する体験は,(i)各ユーザの楽曲に対する「好き」という反応が可視化される,(ii)Kiite Cafeで再生される楽曲はユーザの好みの楽曲から選択される,という2つのアーキテクチャによって特徴づけられる.これらのアーキテクチャによって,ユーザは対面で一緒に楽曲を聴いているかのように,他のユーザとの社会的繋がりを感じたり,自分の好きな楽曲を他者に紹介する喜びを感じたりできる.さらに,Kiite Cafeのアーキテクチャによって(1)再生中の楽曲に対して「好き」を伝えることの動機づけ,(2)多様な楽曲を好きになる機会の獲得,(3)キュレータとしての貢献,という3つの体験がユーザにもたらされる.2,399名のユーザによる1年間のKiite Cafeの利用ログを分析することで,これらの体験を通して生まれる,ユーザにとってポジティブな影響を定量的に示す.

佃 洸摂,石田 啓介,濱崎 雅弘,後藤 真孝(産総研)