人工大理石透過型LEDタッチディスプレイのハードウェア改良 - センシング基板の設計と表面実装 (209)

樹脂製の人工大理石が光を透過する性質を利用し,その背面にLEDマトリクスディスプレイを配置することで,人工大理石表面に図形などを描画することのできるディスプレイシステムを構築する.またマトリクスディスプレイと同様に赤外線LEDとフォトトランジスタを背面に配置することで大理石表面の物体検出を行う機能を付加している.このような描画機能と物体検出機能を活用することで,人工大理石が利用されやすいキッチンカウンターや洗面台において埋め込み型のタッチパネルディスプレイとして活用することができる.

浦 千尋,蚊野 浩,平井 重行(京産大)
OBJEChat:オンラインでの自然なインフォーマルコミュニケーションを誘発する言い訳オブジェクト配信システム (200)

近年,多くの企業でリモートワークが導入されている.リモートワークは勤務者の生産性向上を促す一方で,オフィス出勤と比較しインフォーマルコミュニケーションの頻度が低下すると言われている.そこで,本研究では現実世界でのインフォーマルコミュニケーションを促すきっかけとなる,物理的オブジェクトを共有するシステムを考案・開発した.本研究では身の回りにあるモノを物理的オブジェクトとして定義した.提案システムOBJEChatでは,参加者はビデオチャットを用いて近況を表す物理的オブジェクトを共有し,それをきっかけにテキストチャットによって会話を行うことが可能である.予備的な実験を行ったところ,会話内容や映像から物理的オブジェクト由来の会話が多く発生していることが確認でき,インフォーマルコミュニケーションを誘発することができると示唆された.

犬伏 萌々子,吉松 駿平,高島 健太郎,西本 一志(北陸先端大)
Sketch2Makizushi:ユーザースケッチによる飾り巻き寿司調理支援システム (192)

飾り巻き寿司とは断面が花柄やキャラクターのように見えるように調理した巻き寿司であり,海苔の上に酢飯や具材を適切に配置した後に巻いて調理する.独自のデザインの巻きずしを作成しようとするとき,調理に必要な海苔の数やサイズ,酢飯の量などに加え,具材の配置などのレシピを考えるのは簡単ではない.そこで,ユーザーがイラストを入力すると,そのデザインに応じた巻きずしのレシピを計算し,調理方法をユーザーに提示することで,飾り巻きずしの調理を支援する既存の手法と比較してよりデザインの自由度に制約のないシステムを提案する.また,本システムによる支援がユーザーへどのような影響を与えるのか評価実験を行い,有効性を検証した

大森 和,舟橋 克樹,吉田 匠吾,彭 以琛,謝 浩然,岡田 将吾,宮田 一乘(北陸先端大)
再構成可能な腱駆動モジュラーソフトロボット (068)

モジュラーロボットは,容易に再構成できるという点で優れている.モジュラーロボットを従来の硬い材料だけではなく柔らかい材料と組み合わせて作ることで,しなやかな動きが出来るようになり,人と同じ空間で使用することも可能になる.そこで本研究では腱駆動アクチュエータを用いて再構成可能なモジュラーソフトロボットを作製した.モジュールはゴムライク樹脂を用いて「曲げ」「圧縮」「ひねり」のいずれかの変形が起きやすいように作製した.さらに用いるモジュールの個数及び組み合わせを変えることで一方向に曲がるモジュラーソフトロボットや螺旋状に曲がるモジュラーソフトロボットなどが作製可能であることが分かった.

大橋 直和,岩本 憲泰,梅舘 拓也(信州大)
ぼかしの動的制御によるビデオ会議支援システムの検討 (091)

インフォーマルな場において,ビデオ会議システムを使用する際,会議参加者間の信頼度・親密度を高めるために互いに顔を見せ合うことが重要と思われる.しかしながら,恥ずかしさなどの理由から顔を表示することに心理的負担が生じ,多くの参加者が顔を非表示にしてしまうという問題がある.そこで我々は,オンラインのインフォーマルコミュニケーションにおいて,互いに顔を見せ合うことの心理的負担を軽減できるようにするために,各参加者映像にコミュニケーション状態に合わせて動的に変化するぼかし処理を行うビデオ会議システムを提案する.本稿では,会話を続けるとコミュニケーションが深まるという仮説に基づき,会議参加者の発言時間に合わせてぼかしの状態を変化させるプロトタイプシステムの実装およびプロトタイプシステムを用いて実施した検証実験について報告する.

木村 悠児,今井 廉(日大),呉 健朗(日本大学/ソフトバンク),酒井 知尋,小島 一憲(ソフトバンク),宮田 章裕(日大)
ユーザーの絵を基にしたあやとり技工程作成手法とあやとりデータ構造を用いた平面図生成について (213)

本論文では,ユーザーが絵を描いた際の情報を基にあやとりで絵を再現するための工程と平面図を作成する手法と,それを実装したシステムについて述べる.本手法により,ユーザーが任意の絵から,あやとりを作成することが可能になる.あやとりは世界各地に歴史が存在しており,古くから調査や研究が行われている.また,日本文化の継承と幼児の成長,発達を目的として保育にも取り入れられているという調査を行った研究や,大学生ほどの年齢でもあやとりを遊ぶことは脳の活性化に繋がるという研究もある.だが,大学生ほどの年齢でもあやとりを遊んでいる人は少ない.そこで,大学生と創作活動の関係についての研究から,自分の好きな絵であやとりを遊べるようにすることで,継続して遊びたいと思われる手法を開発し,システムを実装し,評価を行った.

塚本 啓太,中山 裕貴,濱川 礼(中京大)
HMDを用いた一人称視点再現におけるディアボロ技術向上のための追体験システムの構築 (152)

近年,HMDを用いたトレーニングシステムが注目を集めている.本研究ではジャグリングによるパフォーマンスに着目し,その一種であるディアボロの追体験システムを開発した.本システムでは,HMDを装着して一人称視点からディアボロを体験できるだけでなく,熟練者の身体動作および視線情報をキャプチャし,熟練者の動作を追体験させることを目指している.ディアボロ初心者や経験者者にシステムの適用評価を実施したので報告する.

髙田 俊輔,橋本 渉(大阪工大)
星空ビジョン:星空を介したコミュニケーションを可能とするHMDを用いたツールの開発 (167)

星や星座の理解を深めるために,詳しい人から説明を受けることや,他の人とコミュニケーションをとることがある.しかし,星空を見ながら特定の星についての説明や気づき,感想を伝える際,距離が離れた対象を指で星の方向を指し示し共通認識をとることは難しい.本稿では,その時間に観察できる星空を仮想空間に表示し,それに対して気づきや感想を手書きアノテーションで情報を付与し,コンピュータネットワークを通して複数人で共有することで,星空を介した双方向のコミュニケーションを可能とするツールの提案し,その設計,開発,評価について述べる.星空に対して書き込む操作方法を工夫することで,手書きでの直接的なアノテーションを可能とし,仮想空間に表示した星空に対して言葉や文字だけでは表しにくい星座や星の並び,注目している箇所などを伝えることができる.また,記録した情報を多人数でリアルタイムに共有することで,双方向的な対話ができ,自分が持っている知識や体験を星空に再現して伝えること,自分にはない新たな考えを得ることが可能となる.

蓮 雄一,加藤 直樹(東京学芸大)
英語でボケる発言を行うエージェントの基礎検討 (083)

ユーモアを生成する研究は様々な方法を用いて行われている.我々は,ユーザの発言中の単語を,その単語から発音が近く,意味が遠く,認知度が高い単語に聞き間違えるボケをするエージェントを提案してきた.しかしこの先行研究では入出力が日本語に限定されていたため,日本語を理解できない人は,エージェントのユーモアのある発言を理解することができなかった.この問題を解決するために,システムを他言語に適応する方法について検討を行う.具体的には,初期検討として,ユーザの入力が英語だった場合でも,エージェントがユーザの発言中の単語を,その単語から発音が近く,意味が遠く,認知度が高い単語に聞き間違えてボケられるようにする方法を検討する.本稿では,この検討内容について報告を行う.

得田 舜介,呉 健朗,田中 柊羽,大西 俊輝,大串 旭,宮田 章裕(日大)
Wobbly Cylinder: 見た目からの予想を超える転がり挙動をユーザが能動的に操作・体感できる円筒型転がり機構と転がり環境 (094)

人はモノの形状などの視覚的な手がかりからその物理的挙動を推測しがちである.しかし,見た目に頼りすぎて対象を判断することは弊害となることもある.我々は,人がモノには見た目以上の物理的挙動の可能性があると思うには,ユーザ自身が能動的に対象の構造を操作し,見た目から予測されること以上の振る舞いに気が付く過程が重要と考える.そこで本研究では,物理的挙動として日常的によく目にする転がりと,それを引き起こすモノとして円筒容器を取り上げ,円筒形状の転がりは質量と重心位置の変化で変えられることに着目した.そこで内部に円筒形状を分割した形状の充填パーツをおもりとして挿入するパターンや,転がる環境をユーザ自身が操作することで,円筒容器の予想外の転がりを体験できるWobbly Cylinderを提案する.円筒形状から一般的に予測される転がりとは異なる挙動として今回は水平面での揺動,斜面反対方向への揺動,斜面上での静止という3つの挙動の実現を目指し,適切な充填パターンや転がり環境の指針を示した.さらに実際にユーザに体験してもらい,円筒容器の予想外の転がり挙動に提案システムの操作を通じて気が付けることを確認した.

細倉 結衣,フラハティ 陸,橋田 朋子(早大)
経由地に着目した経路検索システムの提案 (157)

既存の経路検索では寄り道をするような経路を検索するとき,寄り道候補ごとに検索をやり直さなければならない.このようにある目的地への経路を複数個考えたいとき,最適経路を推奨するだけでは使用者の選択肢を狭めているのではないかと考えた.そこで本稿では経由地に着目した経路検索システムを提案する.複数の経由地の滞在時間の考慮したOR経路検索や最短鉄道経路のような特殊経路検索により,使用者の選択肢を広げることを期待する.特殊な経路を検索する本稿のシステムでは使用者は好みの経路を選ぶことになるため,選択肢は広い方が好みに合った経路を提案できる可能性が高い.また従来の経路検索は最適経路を求めたため総料金などの結果だけあれば比較可能だったが,本稿の提案手法はOR検索や特殊経路検索のように目的地への経路の過程を重視しているため,経路を地理的に比較できることが重要である.そのため複数の経路の経路比較を地図上でも行えるように構築した.さらに構築したシステムを用いて定性的な評価を行った.

渡邉 公輔,北 直樹,斎藤 隆文(東京農工大)
滞在履歴データを用いたグループ内コミュニケーションの把握と発見 (107)

本研究は,グループメンバー全員の滞在履歴データから,グループメンバー間でのコミュニケーションの状況を把握し,グループ内コミュニケーションを促進することが目的である.コミュニケーションを促進させる方法として,学内での滞在履歴をトラッキングしているサービス,「LATTE」を利用し,グループメンバー1人1人の滞在履歴データを収集する.収集したデータを,時間・人・場所を考慮した形で可視化し,グループメンバー全員が自由に閲覧できるようにする.そして,前の週までのグループメンバー間の接触状況をSlackbotを通じて,フィードバックする.フィードバックにより,グループメンバーが,グループ内コミュニケーション状況を理解し,実世界のコミュニケーションに行動変容が起こると考える.それによって,グループ内の交友関係や関心の近さを把握し,対面コミュニケーションを促進するような行動変容が起こると期待できる.

大石 晃平,角 康之(はこだて未来大)
ImayohClay:粘土型インタフェースを用いた色と言葉に親しむためのAR教材 (178)

本研究では,手を使う体験を重視して,粘土をインタフェースとして活用し「色」と「言葉」を関連付けながら楽しく学べるARシステムを試作した.ユーザは実際に手を動かして,粘土の造形と着色,混色による色の創造を楽しむことができる.着色と混色は投影によって表現され,色の名前として日本の伝統的な色彩語を採用することで,伝統的な色名を通して,日本の言語文化や歴史に触れ,豊かな言語感覚を養うことを期待する.本研究は粘土の着色や造形などの体験を通して,学習の動機づけを高めることを目的とする.

山本 知沙,大島 登志一(立命館大)
HeartBeater: 他者の存在感や精神状態を示唆するマルチモーダル心音提示デバイス (189)

本研究では,心音および鼓動を他者とのコミュニケーションにおける非言語情報と位置づけ,アンビエントに自己の存在感や精神状態を相手に示唆する身体表現の拡張として心臓の鼓動を提示するデバイス「HeartBeater」を提案する.特に,心臓の鼓動情報を簡便に記録し,マルチモーダルな情報として提示することによって存在感や生命感,または感情や情動,気分といった内部状態など,より豊かな感性情報をアンビエントに示唆することを目指す.本稿では提案するデバイスの詳細について報告し,具体的な使用例について考察する.

中島 武三志(東京工芸大)
月経の理解と援助促進に向けたワークショップへのVRコンテンツの応用 (093)

近年表面化している月経にまつわる課題の一つとして,男性による理解の不十分さが挙げられてきた.本研究はこの課題が男性に経験不可能であるという月経の性質に由来するという考えのもと,VR技術による解決を目指す.本稿では,VRコンテンツの開発および体験から実際の支援行動の促進を狙うワークショップの設計について報告する.


望月 花妃,乘濵 駿平,島村 龍伍,御手洗 陽紀,三村 有希,小原 和花子,濱田 健夫,鈴木 寛(東大)
ユーザの状況に適した抱擁時の撫で・叩き動作の探索 (134)

身体接触を伴った人とロボットのインタラクションは,身体接触を行う相手やその関係性,その時の気持ちや状況によって接触動作は異なる.本研究では,親密な関係で行われる抱擁動作に着目し,過去に開発したMoffulyに抱擁を行いながら頭や背中に対して軽く叩く動作と撫でる動作を追加した.実験では,抱擁されるユーザにどのような気持ちや状況の時にそれらの動作を受けたいのかを調査した.結果より,リラックスしたい時や悲しみ・つらさを慰めてほしい時,失敗を許してほしい時などの状況で,頭を撫でる動作が好まれることが分かった.

大西 裕也,住岡 英信,塩見 昌裕(ATR)
AisekiR:ARキャラクタとの共食システム (119)

新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,一人外食が増えた.一人食は今までも問題視されており,今後もコロナ禍の影響で増えていくと予測される.また,共食環境が食事の摂取量や美味しさに影響するという研究がある.共食環境を再現することは,一人食の食事体験の向上に繋がる可能性がある.そこで本研究では,スマートフォン,タブレットを使用して,ARキャラクタと共食をする「AisekiR」を提案する.本稿では,システムの試作概要と試用の実験結果について報告する.

山﨑 柚季,鈴木 陽菜,西森 千珠,栗原 渉,有山 大地,韓 旭,串山 久美子(東京都立大)
VRSNSを用いた野球におけるVR視覚トレーニングシステムの開発 (182)

野球の打撃におけるVR練習システムは今まで複数の研究が発表されている.それらの研究はシステムがオープンになっておらず,アマチュアは使用することが不可能に近かった.今回の研究では目的を打席での視覚トレーニングによる技能向上とし,VRSNSを使うことで環境があればいつでもどこでも誰でも使うことができるVR練習システムの制作を行った.実験では明確な効果を実証することができなかったが,関連研究の実験方法と結果を見るに,まだまだ改善の余地があると考えている.また,VRSNSの同時に複数人が体験できるという点を生かし,同じVR空間で複数人が練習やコーチングをすることができるようにすることで既存のVR練習システムと差別化を図った.

里村 海斗,伊藤 正彦(北海道情報大)
触る体験を音にする楽器SandJockeyの提案 (219)

クロスモーダル現象という言葉があるように,人間の五感には相互作用があると考えられている.本研究ではその中で「触覚」と「聴覚」の関連性に着目した楽器の提案を目的としている.これは触るという体験をと聴くという体験に相互作用を持たせることで,新たな演奏体験と音体験を提供し,表現分野に新しい価値観を提供できる可能性があると考えたためである.本研究では触覚刺激として,多くの人々が幼少の頃より触った経験があると考えられる「砂」を用いた楽器を製作した.本発表では実際に製作したシステムの展示を行う.

梶田 大輔,伊東 天夢,菅野 由弘(早大)
オーダー業務支援のためのポインティングショーケース (102)

コロナ禍において「三密」(密閉,密集,密接)を回避し,人との接触を減らすことが求められている.ケーキ販売店でのケーキのオーダー業務において,密接については徹底することが難しい場合がある.本研究では,対面型ポインティング環境であるポインティングショーケースを提案する.提案する環境は,対面でのフォーカスエリアの確認が可能なスクリーン用透明フィルムと指差し先にフォーカスエリアを表示するスポットライティングから構成される.オーダー業務での比較実験を行った結果,提案環境によりオーダー時の正答率が向上した.

正畑 智徳,中川 桜,吉原 和明(福山大),中道 上(福山大/アンカーデザイン),渡辺 恵太(エムスリー),山田 俊哉(NTTテクノクロス)
ノリツッコミを行う対話型エージェント (006)

ユーモア発言を行う対話型エージェントの研究は多角的な視点で進められている.我々は2体のエージェントをボケ役とツッコミ役に役割分担させてユーザと対話を行うシステムを提案してきた.このシステムでは,ボケ役のボケによってユーザとの話題が逸れたとしても,もう一方のツッコミ役がユーザの代わりにボケに対して指摘・会話の軌道修正をすることで,ユーザが負担なくエージェントらと対話を行える.しかしこの先行研究を含む従来技術では,ボケやツッコミの表現が限定されており,ユーザがエージェントと短期間対話を行うだけで,エージェントとの対話継続意欲が下がる恐れがある.この問題を解決するために,ツッコミ役のエージェントの新たな対話表現として,我々はノリツッコミの導入を提案する.これは,一旦ボケを指摘せずにボケの話題に合わせてボケたあと,ふと我に返ったかのようにボケの発言に指摘をして会話の軌道修正を行うツッコミ手法である.プロトタイプシステムによる検証実験を行った結果,2種類のツッコミを行うよりも,ノリツッコミのみを行うツッコミエージェントに対し,ユーザがユーモアを感じられること,ユーザのエージェントらとの対話継続意欲が維持しやすくなることを確認した.

呉 健朗,大西 俊輝,大串 旭,宮田 章裕(日大)