視線入力とリップリーディングを用いたハンズフリーインタフェース (057)

視線入力は手や音声による操作を必要としないといった利点で特徴付けられており,それに基づいた様々なインターフェースが提案されている.しかし,視線計測器の性能制限やヒトの固視微動現象などにより,視線入力の精度はまだ不十分である.一方で,音声入力は同様にハンズフリーな操作方式であるが,公共の場では情報漏洩や周囲に迷惑をかける他,音声認識の精度に依存するなどの制限が挙げられる.そこで本研究は,視線選択・無声発話操作を併用したハンズフリーかつボイスフリーな入力方式を提案する.実証実験を通して,従来の視線のみの入力方式と比べて以下のような三つの利点があることを検証した:第一に,視線入力の曖昧さが解消し,誤操作が生じにくい入力を達成した.第二に,視線選択した上で無声発話で操作することによって,より迅速に入力できた.第三に,視線選択によって得られたコンテキスト情報を活用し,無声発話認識の認識候補を絞るによって,リップリーディングの認識精度を改善できた.さらに,NASA-TLXのアンケートの結果から,提案手法は主観的作業負荷を低減したことがわかった.

蘇 子雄,張 鑫磊,木村 直紀(東大),暦本 純一(東大/ソニーCSL)
オンライン会議における参加者の入室時の認知特性調査 (126)

COVID-19ウイルスの感染拡大により,Web会議システムを使用してポスターでの研究発表をする機会が増えた.ポスターを遠目で見て聞きに行っていた対面とは異なり,オンラインでの発表はポスターのタイトルとそこで聞いている聴衆の数しか把握できない.本稿では既に入っている聴衆の人数が見える時の,最も入りやすい人数を調査した.参加者は0人から5人のいずれかの聴衆が入っている2つのZoomのブレイクアウトルームの画像を見て参加しやすい方を回答した.アンケートの結果,聴衆の数が0人のルームは入りにくく,3人や4人のルームは入りやすいことが示唆された.

伊勢 直希(筑波大),飯尾 尊優(筑波大学/同志社大学/ATR),塩見 昌裕(ATR)
インタラクティブな画像認識システムにおける画像テキスト変換手法の活用 (047)

インタラクティブ機械学習は,専門知識を持たないユーザによる自立的な機械学習モデルの作成を可能にする.当該分野ではシステム設計に際して分類アルゴリズムが採用される例が多いが,分類は形式が単純すぎるあまりにユーザが定義できるタスクの幅を狭めるという難点がある.また初心者ユーザにとっては,分類での定式化が可能なタスクを解く時でさえ適切にラベルを定義することは困難である.本研究は,インタラクティブな画像認識システムを題材に上記の問題の解決を試みる.具体的には,アルゴリズムとして画像分類ではなく画像テキスト変換を導入する.テキストの場合は定式化可能なタスクの種類に理論上制限がなく,さらにラベルという形式に縛られずに柔軟なアノテーションが可能となる.有効性の検証として,初心者ユーザに画像分類システムと画像テキスト変換システムの両者を与え多様な画像認識タスクを解いてもらう比較実験を行った.結果として,画像テキスト変換を採用した場合,ユーザはより自由な表現でアノテーションができるようになり,更にテキスト記述という煩雑な過程にも関わらず画像分類と同等の使いやすさを感じることが判明した.

川辺 航,菅野 裕介(東大)
名前の語感をアニメーションで可視化するシステムの提案 (141)

言葉はその語感によって受け取り手に様々な印象を持たせる.音や感覚的な状態を表すオノマトペはその語感から抱く印象がオノマトペ自体の持つ意味に深く関わる.人の名前もまた同様で,他人に対しても自分に対しても,名前の響きから無意識に持ち主の印象を作り上げることがある.語感の印象を数値化し表現する研究は多くされているが,数値では語感を直感的に評価しにくい場合がある.そこで名前の語感に着目し,入力した名前の印象を3DCGモデルの動きとして出力することで,語感を可視化するシステムを提案する.本稿ではシステムの実装と,その有効性について調査し報告する.

望月 華,五十嵐 悠紀(明治大)
陰関数曲面と流体の同時リアルタイムレンダリング (050)

本研究では,陰関数曲面と流体を前後関係が正しい状態で,同時にリアルタイムレンダリングすることを目的とする.粒子法を用いた流体シミュレーションに対して陰関数曲面を障害物として適応させることがある.このシーンにおいて,陰関数曲面、流体それぞれ単体でレンダリングすることは実現されている.しかし,陰関数曲面と流体をリアルタイムで同時にレンダリングすることは実現されていない.本研究では粒子法による流体シミュレーション結果である流体の座標と流体を内包する容器となる任意の陰関数曲面を入力とし,陰関数曲面と流体を同時にリアルタイムでレンダリングするためのGPU上のアルゴリズムを提案することで,陰関数曲面と流体を前後関係が正しい状態で、同時にリアルタイムでレンダリングする目的を達成した.

高石 圭人(慶大)
対象の数と関係性の表出が「かわいい」に与える影響の検証 (096)

人は似たものが並んでいる様子や,ある対象が他の対象との関係性を表出する様子を観察することで,「かわいい」と知覚する可能性が示唆されている.そこで本研究では,見た目が似通った3種類の対象(物体:サクランボ,人工物:ロボット,人:双子)の画像を用いて,数および関係性の表出が「かわいい」の知覚に与える影響を検証した.具体的には,WEBアンケートを用いて,それらの対象が1体のみ配置された場合,関係性を表出しないように2体が配置された場合,および関係性を表出するように2体が配置された場合の画像をそれぞれ被験者に提示し,「かわいい」と感じる度合いの比較を行った.実験の結果,全ての対象において,関係性を表出するように2体が配置されたほうが,関係性を表出しない2体および1体が単独で配置されるよりも「かわいい」と感じられることが分かった.一方,人の場合は,関係性を表出しない2体は,1体が単独で配置されるよりも「かわいい」と感じられ,物体と人工物の場合は,逆に,1体が単独で配置されたほうが,関係性を表出しない2体よりも「かわいい」と感じられることが示された.これらの結果から,複数の対象を配置する際には関係性を表出するように考慮することで,観察者がより「かわいい」と知覚することが示された.

塩見 昌裕,林 里奈(ATR),入戸野 宏(阪大)
モバイルARによる実空間を利用したデジタルワークスペース (164)

本研究では,スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末の表示領域を拡張するための「ARデジタルワークスペース」を提案する.提案システムでは,実空間上の壁や机などの平面にモバイル端末のウィンドウを複数配置して操作することができる.これにより,複数の情報を確認しながら効率的にウィンドウ上のアプリケーションを操作することができる.また,ウィンドウ間で文字をコピー&ペーストすることやカメラ映像に文字認識を行うことで,実空間上の文字をコピーしてウィンドウにペーストすることができる.提案システムをモバイル端末に実装し,システムの機能が一通り実現したことを確認した.

小島 佑輝,小室 孝(埼玉大)
複数人の反応を集約し温度変化で伝えるオンライン会議支援システム (061)

オンライン会議は他者の反応が分かりにくいため,会議参加者が他者の反応を把握する認知負荷が高い.本研究では,オンライン会議参加者を対象に,複数人の反応を集約し温度変化で伝えることで,他者の反応を低い認知負荷で把握できるシステムを提案する.本稿では,オンライン会議を模したユーザ実験を行い,ユーザの定性的な評価を通して,提案システムが有効である可能性を確認した.


萩山 直紀,笹川 真奈,佐野 文香,瀬古 俊一,望月 理香,山本 隆二(NTT)
継続的創造活動における知識断片の再活用行動の分析 (109)

ワードプロセッサやプレゼンテーションツールを用いた資料作成は誰もが行う創造的な行為である.その際に,自分が過去に作成した資料の一部(知識断片)を活用することで,効率的かつ効果的に資料作成を進めることがしばしば行われる.しかしこうした継続した資料作成における再活用について,過去のどのような知識断片がどのような目的,タイミングで用いられているかは明らかでない.本稿では,資料作成プラットフォームKnowledge ComposTerを用いて個人の連続した資料作成プロセスを観察し,再活用行動の分析を行った.その結果,過去の資料で棄却された知識断片(不用知)が再活用可能性を有すること,知識断片の活用プロセスには省コストのために予め決まった内容を探すトップダウン型とアイデア発想のために探索的に行われるボトムアップ型があること,資料作成のテーマと個人差が再活用行動に影響を及ぼすことなどが示唆された.

佐藤 健登,濵口 泰成,高島 健太郎(北陸先端大),生田 泰章(サイボウズ・ラボ)