Boomshin: 触覚提示の有無を時間的に変動させるVRゲーム体験の評価 (071)

遭遇型触覚ディスプレイを用いて,VR空間内の物体の触覚提示の有無を時間的に切り替えることが,VRゲーム体験に及ぼす影響を調査した.触覚提示がある物体・ない物体をそれぞれ実体・分身と名付け,両者の時間的な出現パターンを独立変数とし,VRゲーム体験の印象の変化を評価した.その結果,実体あるいは分身のみの場合よりも,両者が混在している場合のほうが,ゲームにおける驚きおよび満足感が高くなることが明らかになった.また,体験中に実体の出現頻度を急激に変化させることで,より大きな印象変化を提示可能であることが明らかになった.

奥谷 哲郎,田井 普,中西 泰人(慶大)
陣取りゲーム要素を導入した歩行データ収集システムの検証 (148)

我々の生活空間内には車椅子利用者やベビーカー利用者といった移動弱者の円滑な行動を妨げる階段や段差などのバリアが点在している.移動弱者にとってバリアフリーマップは重要であり,バリアフリーマップを作成するためにはバリア情報を収集する必要がある.我々はバリア情報を収集する手段として,健常歩行者の歩行時の3軸加速度・3軸角速度(以降歩行データ)からバリアの有無を判定する手法を提案してきた.しかし,歩行データを収集する作業はユーザに直接的なメリットが少なく,この作業に対するユーザのモチベーションが誘発・維持されにくい.それゆえ,収集される歩行データが少なく,バリアが検出されにくいという問題がある.我々はこの問題を解決するため,ゲーミフィケーションを利用した歩行データ収集システムを提案してきた.このシステムは歩行データ収集システムと位置情報連動型陣取りゲームを組み合わせることで,歩行データを収集する作業に対するユーザのモチベーションを誘発・維持することを目的としている.しかし,先行研究ではユーザのモチベーションを誘発・維持することの検証が不十分である.本稿では,歩行データを収集する作業に対するユーザのモチベーションを誘発・維持することができるかを検証したことを報告する.

古田 瑛啓,奥川 和希,呉 健朗,宮田 章裕(日大)
ソーシャルディスタンス誘導のための人物照合機能を備えるプロジェクションマッピング (059)

新型コロナウイルス感染症流行に伴い,2m以上のソーシャルディスタンスを保つことが,感染症を予防する重要な手段の一つである.店舗やイベントでは,ソーシャルディスタンスを保つための目印として2m間隔の白線が床や地面に引かれている.しかしながら,この方法は,ユーザが白線に合わせて行動する必要がある.これは,ユーザの行動を制限することになる.このような問題に対処するために,本研究では,プロジェクションマッピングを用いたユーザの行動を制限しないソーシャルディスタンス誘導システムを提案する.提案システムの特徴は以下の二つである.一つは,RGB-Dカメラにより計測するユーザ間の距離に応じて,プロジェクションマッピングの映像の透明度を変化させることである.これにより,ユーザ間の距離が近づいていることをユーザに事前に視覚的に知らせることができる.二つ目の特徴は,ストーリー性のあるユーザ特有のプロジェクションマッピング行うことで,ユーザを飽きさせることなくソーシャルディスタンスを誘導することである.これを実現するために,深層学習に基づく個人照合システムを構築する.これにより,個々のユーザを識別することができる.結果として,ユーザの動きを制限せずに,かつ飽きさせることなくソーシャルディスタンスを保たせることができる.

菅井 ゆり佳,酒井 優妃,杉村 大輔(津田塾大)
歩容と歩行位置の変化に対応した 機械学習による歩行速度推定を行う トレッドミル型ロコモーションインタフェースの開発 (188)

概要:本研究では,VR空間を自由に歩き回れるインタフェースとして,誰がどんな速度で歩行しても歩行者を一定位置に留める事ができるトレッドミル型のロコモーションインタフェースの開発を行う.今回我々は,歩行者の歩容を光学センサで取得し,歩行速度を推定する手法を採用した.先行研究では立脚時間から歩行速度の推定を行ったが,歩行者の歩容によっては正確な立脚時間が計測できなかった.そして新しい手法として,歩容データを時系列順に連結した学習用データを用い機械学習による学習モデルを構築することで約99%の精度で速度識別が可能となった.本稿では学習モデルの汎用性を高めるために,歩容と歩行位置の変化に対応した学習モデルの構築を行った.

久保村 尚樹,Denielsen Paulus(立命館大),大井 翔(大阪工大),安藤 潤人,野間 春生(立命館大)
猫の身体の柔軟性と流動性を表現したリラクゼーションロボット (196)

「猫の身体は液体である」とまで言われる独特のインタラクションが可能な身体を持つ猫をロボットとして表現する方法に着目し,柔らかく伸びるリラクゼーションロボットを提案・制作する.犬や猫を模した従来のペット型ロボットに見られる四足歩行や鳴き声などの能動的な動きで生物を表現するのではなく,呼吸や身体に触れた時の動作など,生物とのインタラクションで無意識に感じる生物らしさを,動物の骨格構造を部分的に再現することで実現する.人が生物とのインタラクションで無意識に感じる生物らしさのうち,生物がリラックスしているときの動作を表現することができれば,その動作を人が感じることで,生物のリラックスにつられて人もリラックスするのではないかという考えから発想している.本稿では,この考えに基づいて柔らかく伸びるリラクゼーションロボットの制作とロボットの体験者の感想をまとめて報告する.

松本 紗佳(大阪芸術大),萩田 紀博,宮下 敬宏(ATR),安藤 英由樹(大阪芸術大)
ボードゲームプレイヤ間の言語・非言語インタラクションの分析 (216)

複数人で議論や協調活動をする際,我々は発話に加えて,指さし,頭部運動,視線行動,姿勢変化といった様々な非言語行動によって興味対象の特定や会話の制御を行っている.本稿は多人数会話中の言語・非言語行動が多く発生する観察対象としてボードゲームに注目し,そこでの発話有無,視線行動,指さしに注目してプレイヤの興味や行動意図を推定するために行っているデータ収集と分析について報告する.採用したボードゲームは,ボードに描かれた地図上で複数人の刑事プレイヤが一人の泥棒プレイヤを追い込む「スコットランドヤード」と呼ばれるゲームである.収録データを見ると,複数の刑事プレイヤプレイヤ間の合意形成過程におけるリーダーシップの変遷や指さし・視線行動による発話交替といった日常的な多人数会話と共通する現象を多数観察できると共に,泥棒プレイヤプレイヤが真意を隠すために発話有無や視線行動を意図的に調整するといった特殊な行動を観察することができ,興味深い多人数会話コーパスが構築できつつあると考える.本稿はデータ収集の概要とコーパス構築と分析の現状を報告する.

吉田 一裕,角 康之(はこだて未来大)
実空間の障害物を利用したARサバイバルゲーム (163)

本研究では,光学シースルー型ヘッドマウントディスプレイを用いた実空間の障害物を利用するサバイバルゲーム風のARアプリケーションを提案する.本アプリケーションの目的は,ゲーム内で実空間の障害物を利用することにより,身体的に楽しくかつ臨場感のあるゲーム体験を得ることである.周囲環境は空間認識技術を利用して取得し,障害物はHMDに取り付けられたデプスカメラで認識している.これにより,実空間の障害物を利用したゲームシステムの構築を可能にした.

沢登 優生,小室 孝(埼玉大)
ロボットの台数が増えることで謝罪の効果は高まるか? (228)

近年,日常環境下において,多くのサービスロボットが活用されつつある.しかし,サービスを提供する中でロボットが失敗をすることは依然多く,失敗によってサービスに対する信頼や満足度,利用意向を低下させることが知られている.すなわちサービスロボットの普及のために,失敗後の対応は重要な課題である.これまで,失敗後にどのような回復戦略を取るべきか検討した研究が多数行われている.そこで本研究では,謝罪の効果を高めるために,謝罪するロボットの台数に着目した.レストランで配膳を行うロボットが失敗するという状況を想定した被験者実験の結果,謝罪するロボットが1台より2台の方が,客はロボットに対して寛容になることが示された.また,このような状況において,1台よりも2台で謝罪する方が好まれることも示された.

岡田 優花(ATR/同志社大),木本 充彦(ATR/慶大),飯尾 尊優(ATR/同志社大/JSTさきがけ),下原 勝憲(ATR/同志社大),塩見 昌裕(ATR)
3Dディスプレイの非接触タッチ操作における波紋イフェクトの提案 (179)

本研究では,3Dディスプレイの非接触タッチ操作において,操作性が高まるような視覚フィードバックとして波紋イフェクトを提案する.波紋は入力後も一定時間残り続け,時間とともに入力位置を中心に広がっていくため,入力ができていることの確認が効果的に行えると考えられる.3DディスプレイとLeapMotionを用いて,提案イフェクトの効果を評価できる環境を実装し,動作を確認した.


李 逸馬,湯田 遥季,小室 孝(埼玉大)
大学講義でのCommentScreenによる教育効果への影響 (206)

大学教育における講義形態の授業では,限られた時間内で一定の内容を教授することを目指す一方で,受講生は講義中に教員への質問をすることは他の受講生から注目を集めるため避けられる傾向にある.また,講義理解についても講義形態は他の受講生の考えを共有することは難しい.本研究では,大学の講義に受講生のコメントを匿名で表示するシステム「CommentScreen」を活用することで,受講生は講義の進行やタイミングを図る必要なく質問や理解の確認を可能とする.講義への動機づけについて,教育心理学での学習モチベーションを測定するARCSモデルに基づいた評価尺度をもとに評価する.その結果,本サービスを使用することで使用しない場合と比較してモチベーションが向上していることを確認した.また,講義理解について,講義で課したレポート課題をもとに評価する.その結果,講義内容に関するキーワードの頻度や文字数が増加したことを確認した.以上の結果より,本サービスは講義への動機づけや講義理解を高めることを確認した.

東 孝文,武川 直樹(東京電機大)