バーチャルリアリティ技術を用いた身体姿勢の学習におけるマルチモーダルフィードバック効果に関する研究 (060)

本研究では,バーチャルリアリティ技術を用いた姿勢学習におけるマルチモーダルフィードバックの影響を明らかにすることを目的とした.具体的には,視覚情報フィードバックとして1人称視点と3人称視点で学習者の姿勢と目標姿勢を呈示し,触覚情報フィードバックとして頭部および腰部において目標姿勢との一致時または不一致時に振動が呈示する学習方法について,それぞれのモダリティへのフィードバック情報が学習に及ぼす影響と,それらを同期して同時に呈示するマルチモーダルフィードバック効果について検討するために,モーションキャプチャ,視点制御,振動呈示制御が可能なマルチモーダルバーチャルリアリティシステムを開発し,そのシステムを用いて,名の実験参加者に対して学習効果の評価実験を行った.また,学習時のアバターに対する身体所有感及び運動主体感を調べ,姿勢学習との関係を検討した.その結果,学習時の視点条件は,姿勢によらず学習後の頭部の姿勢再現性に影響を及ぼすことが明らかになった.一方,振動の有無は姿勢の学習全般に有効であるほどの効果は見られないことが示唆された.

徳田 拓海(産総研/東大),花島 諒(産総研/筑波大),持丸 正明(産総研/東大),大山 潤爾(産総研/筑波大)
無意識な音を意識化させるヒアラブルデバイスの提案 (062)

聴覚の知覚・認知処理を補助し認知負荷を軽減することを目指し,“無意識な音を意識化させる”ヒアラブルデバイスを提案する.「ながらスマホ」に代表されるように,複数の認知処理を同時に実施するマルチタスク処理によるトラブルが社会問題化している.人間は常に複数の事柄に集中することはできず,「カクテルパーティ効果」により一方に集中した場合には,集中外の他方の事柄は埋もれてしまう.提案するヒアラブルデバイスは,聴覚の認知処理を必要とするタスクにおいて,聴覚に入力される音を自動的に検知し,蓄積し,必要なタイミングに引き出すことにより,集中外にあった無意識な聞き逃し音を意識化する.本稿では,この提案するヒアラブルデバイスをプロトタイピングし,日常的に発生しているマルチタスク処理の中から,ビジネスシーンで頻発する「聞き返し」「聞き逃し」を想定した体験デモを被験者24名に対して実施し,アンケート・インタビューを通してコンセプトの価値検証を行ったので報告する.

金岡 利知,長尾 正太郎,大角 耕介,山本 絵里香,宝珠山 治(京セラ)
ソーシャルタグを利用した多峰性選好モデル構成のための半教師あり学習 (067)

本稿は複数の様式,選好基準が存在するデータに対する半教師あり学習を提案する.現在人気を誇るソーシャルメディアにおいて,事業対象として注目され始めている選好データには複数の様式が含まれており,一軸での評価が不向きという曖昧性を内包している.このようなデータを区別せず,選好モデルの構成を試みても各様式に共通な平均的なものしか得ることができない.様々なジャンルで集積されている選好データのうち,本研究ではファッション領域に焦点を当て,相互情報量の最大化による教師なし学習(IIC)の枠組みを応用した多峰性選好モデル構成の実現に向けた半教師あり学習法を提案する.選好データを予測する回帰問題として評価を実施したところ,提案手法は,ResNet等,CNNのベースライン的なモデルと比較して,30~40 %の精度向上が認められた.このことから提案手法の有効性とファッション領域が多峰性選好モデルを適用すべき領域対象であることが確認された.

田中 哉汰,片寄 晴弘(関西学院大)
ダンスモーションの反復練習の可視化とその有効性の検証 (123)

カメラや赤外線センサを用いた比較的安価な人体モーションキャプチャ技術の充実により,人体運動の計測が手軽になり,その用途が飛躍的に拡大した.我々はこの技術を活用して,同一のダンスを反復的に練習した際の動作の差異や変化を可視化することで,ダンスのスキル向上に寄与する可視化システムを開発している.本手法では,同一人物による同一のダンスの練習を複数回計測する.そして各モーションに対して,ダンサーと講師の間の体格差を補正する体格補正,動作のタイミングを揃える時間補正,ダンサーの位置や身体の向きを揃える空間補正を適用する.続いて補正後の各モーションを構成する手足などのパーツに対してクラスタリングを適用し,クラスタリング結果を可視化する.ユーザはその可視化結果にもとづいて任意の複数のモーションを選んで,これらをアニメーション表示することでダンサーの動作の差異や変化を確認することができる.本報告では可視化システムの処理手順や機能の説明に加えて,4種類のジャンルのダンスを対象として計測したモーションデータを可視化し,有効性を検証した.

川西 真美(お茶の水女子大),土田 修平(神戸大),伊藤 貴之(お茶の水女子大)
輝度と音量コントロールによるオンライン講義視聴の集中力維持支援の検討 (146)

本稿では,オンラインによる講義の視聴時に,集中していない視聴者に対して不快感を与えずに集中させる手法を提案する.提案手法は,視聴者が集中していない場合に画面の輝度を一時的に上げ元の輝度に戻すという介入と音量を一時的に下げ元の音量に戻す.提案手法により,オンライン講義,ミーティングの視聴者は不快感を覚えることなく,自然に講義,ミーティングに集中することが期待される.


廣田 雄亮,山本 祐輔(静岡大)
2次元キャライラストの顔パーツにおける音声生成手法の検討 (180)

人は人間の顔からおおよその声を想像することが可能であると考えられており,人の顔から音声の生成を試みる研究が存在する.その中で,キャラクタの音声を推定する研究では,年齢や性別を推定したのちに音声を生成しているが,年齢や性別の推定誤差により生成される音声に影響を与える可能性がある.我々はこれまでに,アンケートから人はキャラクタの「目の形」から声を想像することが分かった.本研究では,「目の形」から声を生成する手法を提案し,Tacotron2とWaveGlowを用いて音声を生成する手法を提案する.実験の結果として,学習したキャラクタの特徴を含んだ音声を生成することができた.

大道 昇,大井 翔,佐野 睦夫(大阪工大)
共有フィジカルフィードバック:共有仮想空間とフィジカルフィードバックの連携による一体感の創出 (222)

移動時間の効率化や働き方の多様化,地域格差解消の施策として,オンライン上でのコミュニケーションの機会が増えている.例えば職場でのミーティングや商談,学校での授業がオンライン上で実施されている.多くのオンライン上でのコミュニケーションに使用されるクラウド型のビデオチャットシステムでは参加者は2D映像と音声の2種類の情報を個別に受け取り,コミュニケーションを行う.しかし,対面でのコミュニケーションのように視覚と音声に加えて参加者同士が同じ空間からの得る一体感を十分に表現できないでいる.本論文ではVR共有空間を現実世界に拡張し,複数の双方向フィードバックを実現する.複数の双方向フィードバックにより共有出来る感覚を増やすことで既存のオンライン上でのコミュニケーションに比べ対面に近い一体感を得られることを目指す.

佐々木 温子,富杉 正広,洪 花,飛田 博章(東京都立産業技大)
いつでもブレスト:ウェブ閲覧中におけるブレインストーミング再開タスクの割り込み (142)

本稿では,アイデア出しの機会を日常に埋め込むために,より多様なアイデアを生み出しやすいタイミングでブレインストーミングの再開を促すシステムを提案する.具体的には,Twitter閲覧中にブレインストーミングの再開を促すUIを提示するシステムを提案する.Twitter閲覧中に着目した理由は,サービスの特性上日常的に閲覧することと,アイデア発想のヒントになり得る多様な情報を閲覧できるからである.提案システムは,ユーザのTwitter閲覧中に,多様なアイデアを生み出しやすいタイミングを検出し,ブレインストーミングの再開を促す情報を閲覧中のウェブページに挿入する.これにより,日常的なウェブ閲覧中にブレインストーミングを行う機会が埋め込まれ,多様なアイデア発想を促すことが期待される.

若月 祐樹,山本 祐輔(静岡大)
VR青空会議システム:雑談を支援するための3次元遠隔会議システムの実装 (202)

ビジネスや教育の分野で遠隔会議ツールを使う機会が増えている.Zoom等の2次元遠隔会議ツールは特定の議題について話し合うには便利だが,参加者全員に声が聞こえてしまうため,雑談をするのが難しい.しかし,ビジネスにおいて雑談には重要な役割がある.本論文で提案するVR青空会議システムは,会議の休憩時間に参加者が自然豊かなフィールドを散歩しながら雑談できることを目指した.遠隔会議は対面会議に比べてコミュニケーションロスに陥りやすいが,デザイン的に屋外会議の要素を取り入れることで,参加者にリラックスした集中状態をもたらし,雑談が生まれやすくなることを期待した.機能面では,誰に話を聞かれているか分かる安心感を生み出すことと,会話に加わっていない参加者が半球を目指して集まってくるような効果を目的として,音声が聞こえる範囲を半球エフェクトで表示するように実装した.

冠 雄太,中島 亮太,冨山 達朗,飛田 博章(東京都立産業技大)