社会活動量と身体活動量の関係に着目したライフログの可視化 (193)

本研究では,社会的な活動量と身体的な活動量の関係に着目してライフログの可視化を行う.ライフログから生活を見直し,満足度の向上や疲労度の軽減のような心身の健康につながる過ごし方,指標の発見を目指している.今回は,既存のスマートウォッチ型デバイスから得られる身体活動量と,首元に装着する顔数計から得られる社会活動量の大小から日常活動の分類を行い,洞察を得る.まずは,1名の日常活動(8種類,37シーン,各10分)について身体活動量と社会活動量の二次元平面にプロットし,活動ごとの傾向を分析した.当人にとって,身体活動量と社会活動量の両方を一度にバランスよく得られる活動,身体活動量が得られる活動,社会活動量が得られる活動の3グループに分類した.次に,3名の同一空間上における活動について,二次元平面にプロットし,活動ごとの傾向を分析した.3名の活動がマッピングされる位置は,個々人で値の大小の差異,つまり個性はあるものの,身体活動量と社会活動量の両方をバランスよく得られる活動,身体活動量が得られる活動,社会活動量が得られる活動といったグループに該当する傾向が見られた.次に,1名の半日の身体活動量と社会活動量の遷移を可視化した.身体活動量と社会活動量の両方が移り変わる様子を可視化することで,当人の活動リズムやバランスが分かるのではないかと考える.

奥野 茜,角 康之(はこだて未来大)
ロボット間の対話に基づく合意形成が人の思考に与える影響 (143)

本論文では,ロボット間の対話による合意形成を観察することが,人々の思考にどのように影響するかを実験により検証した.近年,SNSの普及は著しく,一つの話題に対しても様々な視点からの情報が目に入るようになった.ポジティブともネガティブとも断定できない話題も多く,その印象は情報の伝えられ方に左右される可能性がある.そこで,ロボットが人々に情報提供する際の効果的な手法については,ロボットが単体,複数台それぞれにおいて研究が進んでいる.人とロボットが直接対話をする際には,言語情報に関する研究だけでなく,ノンバーバル情報にも注目されている.最近では人とロボットが直接対話をすることにおける研究だけでなく,複数台のロボットの対話を観察することの効果も検証されている.しかし,ロボット間の対話による合意形成を観察することの効果は検証されていない.そこで,ポジティブとネガティブの両方の意見がある話題について,合意形成の有無による影響の違いを実験により検証した.実験では印象への影響だけでなく,ロボットの対話が公平に感じるかどうかについても検証した.実験の結果,ネガティブな意見に合意形成する様子を観察することは,ポジティブな意見に合意形成する様子やポジティブな対話の様子を観察することよりネガティブに感じることが示された.また,ネガティブな対話の様子を観察することは,ポジティブな対話の様子を観察することよりネガティブに感じることが示された.さらに,ネガティブな対話の様子を観察することは,合意形成の様子を観察することや,ポジティブな対話の様子を観察することより公平でないと感じることが示された.したがって,合意形成はある話題に対してネガティブな印象を与える際に,公平な印象を与えることが示された.ただし,良い印象を伝える際には,合意形成は公平性に影響することは示されなかった.

板原 宏樹(ATR/同志社大),木本 充彦(ATR/慶応義塾大学),飯尾 尊優(ATR/同志社大),下原 勝憲(同志社大),塩見 昌裕(ATR)
猫と共に探求する新たな睡眠価値の創出 (212)

私たちは疲労回復のために毎日決まって寝室のベッドで睡眠をとっており,睡眠の価値と手段は画一化していた.一方,食事は料理の美味しさや栄養以外にも一緒にいる人・天気・雰囲気などの条件によって個々の食事が多様性を持った特別な体験となる.本研究では,睡眠においても疲労回復以外の新たな体験価値の創出に向け,同じ居室で生活している生物の行動特性を通して模索する.具体的には,寝床が毎日変化する猫がその日に寝ている場所で人も睡眠を取る24日間の実験を行い,定量的な睡眠の質及び定性的な日記の分析を通じて身体的・心理的影響を調べた.通常のベッドでの睡眠時と比較し,身体的な睡眠の質に変化は見られなかったが,毎晩の寝床が予測できないワクワク感や猫との触れ合いによる幸福感など心理的な睡眠の質に肯定的な変化が得られる結果となった.

中橋 侑里,SEONG YOUNG AH(法政大)
MIDI鍵盤による文字入力方式の提案~作曲に思いを馳せながら~ (185)

近年DTM(デスクトップミュージック)と呼ばれるPCで作曲する手法が注目を浴びている.PCでも作曲のための打ち込みは鍵盤型のキーボード(MIDIキーボード)を活用して作曲を行うことが多い.作曲などの閃きは曲作りに向き合っている時よりむしろ,日常生活のふとした瞬間に生まれるものである.そこでDTMに用いられているMIDIキーボードやドラム型のコントローラーなどの打ち込み機器を普段使いにも拡張できる機能があれば様々な場面で作曲に集中できると考えた.本研究ではその先駆けとしてMIDIキーボードを用いた文字入力方法の設計と提案を行い,その実用性を実験した.

齋藤 竜也,安藤 潤人,野間 春生(立命館大)
補足的な非言語情報が属性フレーミング効果に与える影響の検討 (095)

ゲームなどの対象物について,説明する文章表現がポジティブな表現かネガティブな表現かによって,その対象物への評価や購入意欲などの意思決定が変化する現象はフレーミング効果と呼ばれている.本研究では,特に属性フレーミング効果の文章表現に,補足的に非言語情報を追加すると,評価や意思決定が変化するかについて調査を行った.非言語情報の中でも,円グラフとジェスチャを対象に,円グラフの描写と視覚判断,また,ジェスチャの視覚判断という非言語的な情報の追加が,対象物の判断や選好に影響を及ぼすかについて実験的に検証した.円グラフにおいては,割合の描写と視覚的な割合推測を行った.ジェスチャにおいては,ジェスチャの視認による対象物の購入意欲の評価を行った.本研究の結果,円グラフによる非言語情報の追加は,属性フレーミング効果を解消することを示唆した.また,ジェスチャにおいては,属性フレーミング効果による評価に影響を与える可能性を示唆した.

髙宗 楓,高島 健太郎,西本 一志(北陸先端大)
医療的ケア児の看護にむけた映像投影によるストレス軽減手法の基礎検討 (088)

子どもの不安とストレスを軽減させる方法にはディストラクションという看護戦略がある.近年,そのディストラクションは,仮想現実として小児病棟に提供され始め注目を集めている.本研究は,映像投影に基づき,より没入感の高い演出で子どものストレスを軽減させる効果的なツール開発を実現することを目的とし,小児看護のディストラクションにおける創意工夫の理想的な手法を模索する.今回,基礎的な特性を評価するために,成人を対象として唾液αアミラーゼ活性を測定し,壁面だけの1面投影と,壁面と床面との2面投影でストレス緩和効果にどの程度違いがあるのかを検証する試みについて報告する.

荻原 弘幸,船戸 優希,奥 寛雅(群馬大)
Distributed Ears: ダイバーシティ理解促進のための聴覚拡縮されたサバイバルゲームの設計 (183)

遠方や周囲で鳴る特定の音を可聴化することをコンセプトにしたデバイスを提案する.デバイスはRaspberry Piを中心とした取り付け可能なデバイスで,無線ネットワークを通じて通信を行う.本稿ではコンセプトデバイスの利用例として,ダイバーシティ理解のための新しいサバイバルゲームを提案する.ゲームは,フラッグ戦を基本とし,デバイスの機能によってマジョリティとマイノリティの構造を作り出す.また,ダイバーシティにおけるマジョリティとマイノリティの能力面における関係性といった構造的背景をアナロジーとして盛り込む.実際にこれを遊んでもらい,参加者がどのような洞察を得られたか確認するワークショップを実施する.その結果,被験者は構造的背景を理解することが期待される.

森泉 友登,山本 祐輔(静岡大)
両目で異なる方向への視野の提示手法 (217)

人間は通常両目が前を向き,その視野は大きく被っており,両目の視差情報から距離感を得ている.草食動物では捕食者から逃げる為に広い視野を確保するため,両目の視野は大きく離れており,被っている視野は人間や肉食動物よりも少なくなっている.本研究では人間に左右で全く異なる視野を提示することで,より周囲の環境の変化に早く気付くことを目的とする.


森山 有理名,魚井 宏高(大阪電通大)