BBeep:歩行者との衝突予測に基づく警告音を用いた視覚障害者のための衝突回避支援システム (022)
(1) BBeep:歩行者との衝突予測に基づく警告音を用いた視覚障害者のための衝突回避支援システム

本研究では混雑した環境における視覚障害者と歩行者の衝突を回避するためのスーツケース型システムーBBeepを提案する.BBeepは周囲の歩行者の検出及び将来位置の予測結果から歩行者がユーザ(視覚障害者)と衝突する危険性を予測し,衝突する危険性を持った歩行者に対して警告音を鳴らす.警告音を聞いた歩行者がユーザの存在を認識しユーザに道を譲ることで,ユーザに対して歩行者と衝突しない安全な進路を提供することが可能になる.本研究では警告音の種類や鳴らすタイミングの違いによる歩行者の反応の違いを調査し,警告音を鳴らすタイミングが歩行者の経路に大きく影響することを確認した.さらに,本結果をもとにBBeepの警告ポリシーをデザインし,国際空港内にて視覚障害者による評価実験を行ったところ,BBeepを用いることで歩行者と衝突する回数が大幅に低減されたことを確認した.

粥川 青汰(早大),樋口 啓太(東大),João Guerreiro(Carnegie Mellon University),森島 繁生(早大),佐藤 洋一(東大),Kris Kitani(Carnegie Mellon University),浅川 智恵子(Carnegie Mellon University/IBM Research)
(招待1) 【特集号からの招待】 直列に接続した電極を用いたタッチ検出手法

真鍋 宏幸,山田 渉(NTTドコモ)
(招待2) 【特集号からの招待】 ProtoMold: 形状が変化する型と真空成形による素材再利用可能な高速プロトタイピング

山岡 潤一,筧 康明(慶大)
ウェアラブルセンサを用いたジェスチャ中の特定動作発生タイミング推定手法 (027)
(2) ウェアラブルセンサを用いたジェスチャ中の特定動作発生タイミング推定手法

加速度センサや角速度センサなどのモーションセンサを搭載したウェアラブルデバイスの普及にともない,モーションセンサから得られたデータを用いてジェスチャの認識を行う研究が活発に行われている.ジェスチャは1回きりの動作であり,運動の軌跡が重要な意味をもつため,ジェスチャ部分の波形を切り取った後,テンプレートマッチング手法を用いてジェスチャの認識を行う.しかし,ジェスチャ中の特定の動作が行われたタイミングを正確に検出する手法はこれまでに存在せず,ユーザが投球動作を行うことでゲーム上のキャラクタに投球動作を行わせることは可能であるが,ユーザのリリースポイントなどの特定の瞬間を反映させることは困難である.筆者らはこれまでに競技かるたにおける札取得の瞬間(札取得時刻)を推定する手法を提案し,札を先に取得した人を判定する札取得者判定システムを構築した.本研究では,先行研究を競技かるた以外に適用するために推定手法の改良を行い,さまざまなジェスチャ中の特定の動作の発生タイミングを検出する手法を提案する.手首に加速度・角速度センサを装着して,野球の投球,バスケットボールのフリースロー,およびダーツのスローの3種類の動作のリリースポイントを推定した.リリースポイントの推定誤差が±12[ms]以下の割合は,野球で61.9%,バスケットで87.6%,ダーツで91.1%となった.

村尾 和哉(立命館大),山田 浩史,寺田 努,塚本 昌彦(神戸大)
Bubble Gaze Cursor (034)
(3) Bubble Gaze Cursor

視線入力インタフェースにおいて小さなターゲットを選択することは非常に困難であり,容易にするためにはインタフェースデザインの変更か動作時間の増加を強いられる.本稿では,動作時間やデザインの汎用性を維持した状態で小さなターゲットを選択することを容易にすることを目的として,エリアカーソルの一種であるバブルカーソルを視線操作時のカーソルとして用いる手法を提案する.バブルカーソルが視線入力インタフェースにおいてどのような挙動をするのか確認するため,マウスのバブルカーソルと視線のポイントカーソル,そして視線のバブルカーソルに対してポインティングタスクを行った.その結果,視線カーソルをバブルカーソルに変更したものはポイントカーソルよりも常に高速に動作したうえ,ユーザビリティ評価指標もポイントカーソルよりも有意に高かった.したがって視線カーソルにバブルカーソルを用いる提案手法はポインティングを容易に,かつ高速にするうえで有効な手法だといえる.

崔 明根,坂本 大介,小野 哲雄(北大)
標的車両乗り遅れ防止のための車両時刻表改変手法 (033)
(4) 標的車両乗り遅れ防止のための車両時刻表改変手法

指定時刻に遅れないことは社会的・倫理的に重要だが,遅刻は意に反して起こる場合がある.遅刻防止支援として,移動に便利な情報を提供する支援は十分に行われているが,遅刻に心理的な原因があるにも関わらず,心理的観点からの支援手法はほとんど提案されていない.そこで,本研究では,公共交通機関の利用時を対象場面として,乗るべき標的車両の発車時刻へのユーザの遅刻を防止するために,車両時刻表に心理的傾向を考慮したフィクションを交える手法を提案する.提案する時刻表は,車両発車の時間間隔を操作することで,自身の駅到着時刻が早くなることを希望・許容させる方向にユーザを誘導し,標的車両の発車時刻に間に合う行動を誘発する.本手法は,乗り遅れ時の待ち時間が,乗車駅への自身の到着予定時刻の設定に影響することを利用する.プロトタイプシステムを実装し,合計53名の2種類の実験を通して,提案手法がユーザの到着時刻を望ましい方向に変容でき,乗り遅れ防止に有効なことを確認した.

双見 京介(立命館大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
人の振る舞いへの気付きの表出によるロボットのソーシャルプレゼンスの強化 (024)
(5) 人の振る舞いへの気付きの表出によるロボットのソーシャルプレゼンスの強化

日常生活において,接客ロボットやガイドロボットなどのロボットが普及してきているが,ロボットの発言はそのソーシャルプレゼンスの弱さのために,人々に無視されることが多い.この問題を解決するには,ロボットの振る舞いは人々の注意を引き付け,頷きや返答をしてもらえるようなものである必要がある.本研究では,このような振る舞いを調査するために2つの実験を行った.まず,実際の店舗においてロボットと訪問者の自然なインタラクションを調べる実験を実施し,さらにそのデータをもとに開発した社会的反応モデルの実環境での有効性を検証した.次に,聞き手がロボットを見ている時に見返すロボットの動作によって,聞き手が自分の動作をロボットに認知されているという感覚になるのかを定量的に調べる実験室実験を行った.その結果,人とロボットとのインタラクションの初めにおいて,ロボットが人の行動を認識して行動できることを表現することが,聞き手の感じるロボットに見られている感覚を向上させ,ロボットの発言に対する返答の促進に有効であると分かった.

岩﨑 雅矢,周 剣,池田 瑞,小池 祐輝,大西 裕也(阪大),河村 竜幸(京都イノベーション株式会社),中西 英之(阪大)
近接学に基づくHMD利用者・非利用者の間の段階的なアウェアネスの向上 (011)
(6) 近接学に基づくHMD利用者・非利用者の間の段階的なアウェアネスの向上

近接学の考え方に基づいてHMD装着者と非装着の近接者の間のアウェアネスを適切に向上させる手法を提案する.本手法では,対人距離,視線,人の属性等の情報を用いて,両者の関係性やインタラクションの必要性を推定し,お互いの状況を把握するための“手掛かり情報”を段階的に提示する.また,提案手法の実利用にあたり,HMD利用者・近接者の目的ごとに手掛かり情報を設計し,両者のアウェアネス向上が必要とされる4つの利用シナリオを考案した.これらのシナリオを,HMD使用経験者らに議論してもらうデザインスタディを行い,近接学に基づく本手法や手掛かり情報そのものが効果的に機能することと今後の発展可能性を確認した.

工藤 義礎(東北大),アンソニー タン(University of Calgary),藤田 和之,遠藤 勇,高嶋 和毅(東北大),ソール グリーンバーグ(University of Calgary),北村 喜文(東北大)
ロボットからの接触における視線の高さと発話タイミングの影響 (020)
(7) ロボットからの接触における視線の高さと発話タイミングの影響

人が他者に触れる際,視線や発話のタイミングによってその印象は大きく変化する.例えば医師が患者に触れる際や大人が子供に触れる際に行われる視線の高さを相手に合わせる動作は,触れる相手へより丁寧な印象を伝えることができる.他にも,他者へ触れる前にあらかじめその意図や理由を発話で伝えることで,相手が触れられることに対して感じる抵抗感を減らすことが出来る.一方,ロボットが人に触れる状況において,視線の高さを変化させることでどのような影響をもたらすかはいまだ定量的に検証されていない.また,ロボットから人への接触を扱った過去の研究では,ロボットは患者役の被験者に触れる前ではなく,触れた後にその意図や理由を発話で伝えたほうが望ましいという,人同士の触れ合いにおいて望ましいと報告されている発話タイミングとは相反する結果が報告されている.そこで本論文では,ロボットから人へ接触する際のロボットの視線の高さ,および発話タイミングによってその印象がどのように変化するかについて被験者実験を行い,それらの要素がもたらす効果の検証を進めた.実験の結果,ロボットの視線の高さを相手に合わせてから触れることで,女性の被験者に対してはより丁寧な印象を伝えることが示された.一方,男性の被験者に対しては特に望ましい効果は示されなかった.発話タイミングに関しては,ロボットが患者役の被験者に触れる前にその意図を発話で伝えたほうが望ましい印象を与えることが明らかになり,上述したロボットから人への接触を扱う過去の研究とは相反する効果が示された.これらの実験結果及びそれらを踏まえた考察の詳細について,本文中で報告する.

塩見 昌裕(ATR),平野 貴大,木本 充彦(ATR/同志社大),飯尾 尊優(ATR/筑波大/JSTさきがけ),下原 勝憲(ATR/同志社大),萩田 紀博(ATR)
Tap Messenger:タップのみでコミュニケーションを行うシステムの提案 (019)
(8) Tap Messenger:タップのみでコミュニケーションを行うシステムの提案

健常者や障がい者は,文字や発話,点字や手話などの手段を利用し,他者とコミュニケーションを行っている.しかし,ユーザが利用するコミュニケーション方法が,障がいの有無や種類によって相手が理解できない場合,介護者の仲介無しにコミュニケーションを行うことが困難であるという問題がある.この問題を解決するために,我々は,指でタッチスクリーンをタップするという最低限の身体動作だけで日常生活に必要なコミュニケーションを行えるシステムTap Messengerを提案する.このシステムでは,伝えたいメッセージを構成する各文字をひらがなで表現した場合の画数に合わせてスクリーンをタップするだけで,メッセージを文字と音で相手に伝えることが可能である.これにより,障がいの有無や種類を問わず,様々なユーザ間で介護者の仲介無しに共通の方法でコミュニケーションを行うことができるようになる.提案方式のプロトタイプシステムと既存システムを用いた比較実験を行った結果,提案方式の方が少ない学習で習熟できるということが確認できた.

小林 舞子,小林 優維,呉 健朗,大和 佑輝,宮田 章裕(日大)
自由に紙をちぎって電子情報を手渡すインタラクション方式の提案 (032)
(9) 自由に紙をちぎって電子情報を手渡すインタラクション方式の提案

スマートフォンをはじめとする電子端末の普及により,画像や動画などの電子情報の受け渡しは今や日常的に行われるようになった.メールやSNSなどを利用して電子情報を受け渡すためには,送信者は受信者の連絡先を知っている必要があるが,受け渡し相手が初見の相手や,その場限りの相手であると,連絡先を交換することに抵抗を感じるユーザは多いと思われる.この問題を解決するために,我々は,紙をちぎって手渡すことで電子情報を受け渡す方式を提案してきた.これは,ある紙を2片にちぎり分けたとき,各紙片の破れ目の特徴が合致する性質を利用したアプローチである.本方式を用いて電子情報を受け渡す際には,送信者が紙を2片にちぎり,一方を受信者に手渡す.このとき送信者が持つ紙片をs,受信者が持つ紙片をrとする.送信者は受け渡す電子情報を選択したのちにsをカメラで写し,sの破れ目部分の特徴と電子情報とを結びつける.受信者はrをカメラで写すことで,rと破れ目の特徴が合致する紙片sに結びつけられた電子情報にアクセスできる.本稿では,自由に紙をちぎった場合でも高いマッチング精度を実現するために,紙片の特徴量を抽出する処理の改良と,新たな特徴量の導入を行った.従来手法とのマッチング精度比較実験では,従来手法よりも高い精度で紙片同士のマッチングを行うことができることを確認した.

富永 詩音,呉 健朗(日大),伊藤 貴之(お茶の水女子大),宮田 章裕(日大)
SottoVoce: 超音波画像と深層学習による無発声音声インタラクション (004)
(10) SottoVoce: 超音波画像と深層学習による無発声音声インタラクション

音声によって操作されるデジタル機器の利用可能性は急速に拡大している.しかし,音声インタフェースの使用状況は依然として制限されている.たとえば,公共の場で話すことは周囲の人に迷惑になり,秘密の情報を話すことができない.本研究では,超音波映像を用いて,利用者の無発生音声を検出するシステムを提案する.顎の下側に取り付けられた超音波イメージングプローブによって観察される口腔内の情報から,利用者が声帯を振動させずに発話した発声内容を認識する.超音波画像の系列から音響特徴を生成する2段階のニューラルネットモデルを提案する.提案モデルにより,合成したオーディオ信号が既存の無改造のスマートスピーカーを制御できることを確認した.これにより,人間とコンピュータが緊密に連携した種々のインタラクションが可能にな,新しいウェアラブル・コンピュータが構成可能になる。また、咽頭の障害、声帯機能障害、高齢による発声困難者に対して、声によるコミュニケーションを取り戻すための技術基盤を提供する。音声合成の精度を向上させるために,人間側も口の動きを調整できることが観察された.我々は,これを人間の脳と人工ニューラルネットが相互に協調する形態``Human-AI Integration''と呼ぶ.

暦本 純一(東大/ソニーCSL),木村 直紀,河野 通就(東大)
手遊びや影絵に基づく操作が可能なロボットの組み立てプラットフォームとその実演・評価 (009)
(11) 手遊びや影絵に基づく操作が可能なロボットの組み立てプラットフォームとその実演・評価

本稿では,手遊びや影絵に基づくハンドジェスチャでロボットのリアルタイム操作を行うプラットフォームを提案する.手指の動きをセンサで計測し,それをロボットの動きに反映させる.ロボットはユーザがブロックを使って組み立てることができる.ロボットを操作するために,ロボットの関節に手指の動かし方を示すためのブロックを接続し,マウス・トラックパッドでロボットと手指の関節可動範囲を対応づける.イベントで体験会・ワークショップを実施し,ロボットの操作は200名以上が体験し,ロボットの組み立てと操作には19名が参加した.これにより,提案手法が直感性のある操作であること,リアルタイムに操作できるロボットを子供でもデザインできることを確認した.

辻 天斗,牛田 啓太,陳 キュウ(工学院大)
空間連動する2つのカメラ視点を用いたドローン操縦インタフェースの拡張 (026)
(12) 空間連動する2つのカメラ視点を用いたドローン操縦インタフェースの拡張

本研究では,空間的に連動する2台のドローンを利用して従来のドローン操縦インタフェースを拡張する.提案インタフェースでは,主たる操縦対象のドローン(主ドローン)カメラによる一人称視点に加えて,主ドローンに空間連動する副ドローンを用いて広域な三人称視点を提供することで,パイロットのドローン周囲への理解(Situational Awareness)を高め,ドローンの操縦や飛行経路計画をより簡単にする.主・副ドローンの位置関係は,座標系対連動法を応用して,パイロットの視点位置とコントローラ上に設置された主ドローンの模型との位置関係と同等になるように自動的に制御される.パイロットは,スティックコントローラで主ドローンを従来通りの方法で操作することが可能で,そして,必要に応じてその模型の姿勢を操作して副ドローンの位置(三人称視点)を変更することが出来る.我々は,この提案インタフェースのプロトタイプをプログラマブルなドローンを用いて実装し,ドローン操縦経験の異なる複数の参加者群によるユーザスタディを実施してその有用性を検証した.その結果,提案インタフェースが参加者から概して好まれたことがわかり,ドローン操縦におけるSituational Awarenessが高められることが示唆された.

天間 遼太郎,高嶋 和毅(東北大),末田 航(National University of Singapore),藤田 和之,北村 喜文(東北大)
運動伝染が生み出す運動予測の変調を利用したPseudo-hapticsの生起要因の分析 (018)
(13) 運動伝染が生み出す運動予測の変調を利用したPseudo-hapticsの生起要因の分析

Pseudo-hapticsとして知られる擬似的な外力覚は,これまでの研究では視覚情報と力覚情報とに不一致が生じた際に力覚情報が変容されることにより生じると説明されてきた.しかしながら変容された力覚情報は,外力としても随意運動の結果としても解釈することが可能であり,疑似的な外力が生じる要因について十分な説明はなされていなかった.我々は,この変容が外力として解釈されるには,自己の運動予測と視覚的に知覚された運動結果との差を認知することが条件であるという仮説を立てた.この検証のため,被験者の運動に運動伝染を引き起こし,視覚情報と力覚情報との一致性を保った上で運動予測と運動結果との間に差を生じさせる実験を行った.この実験ではマウスによるステアリングタスクを用い,被験者にはタスク中に感じた外力の強度を報告させた.このタスクと,他者が同じタスクを行っている映像を観察するタスクを交互に行うことで,被験者の運動に運動伝染を誘発した.その結果,生じた運動伝染と同じ方向に被検者が外力を感じることが確認され,運動予測と運動結果との差を認知することが疑似的な外力が引き起こされる要因となることが示された.

齊藤 寛人,福地 健太郎(明治大)
Motor WidthとVisual Widthの差を考慮したポインティングのモデル化 (007)
(14) Motor WidthとVisual Widthの差を考慮したポインティングのモデル化

GUI上では,ナビゲーションバーのようにクリック可能領域の大きさ(Motor Width)と見た目の大きさ(Visual Width)が異なるターゲットをポインティングする場面がある.そのようなインタフェースでは,カーソルがアイテムにのってからアイテムがハイライトされるまで,ユーザはMotor Widthを正確に認識することができない.そのため,必要以上に慎重に操作したり,既にクリック可能であるにもかかわらず無駄にカーソルを動かしてしまうことが考えられる.本研究の実験では,Motor WidthとVisual Widthに差があり,かつターゲットと非ターゲットが存在する状況でポインティングを行う.実験の結果,参加者の操作時間はMotor Widthに強く依存し,Motor WidthとVisual Widthの差によってわずかに操作時間が増加することが分かった.また,実験結果を元に,Motor WidthとVisual Widthの差を考慮したポインティングのモデルを構築し,本実験の結果だけでなく先行研究の実験結果においても高精度に操作時間を予測可能であることを示した(R^2 > 0.91).そして,実験結果と提案モデルを元に既存のインタフェースの改善を提案した

薄羽 大樹(明治大),山中 祥太(ヤフー),宮下 芳明(明治大)
短時間のはみ出しを許容する条件下でのステアリングタスクのパフォーマンス検証とモデル化 (001)
(15) 短時間のはみ出しを許容する条件下でのステアリングタスクのパフォーマンス検証とモデル化

ステアリングの法則は本来,規定された経路からはみ出さないように通過する時間を予測するモデルであり,はみ出した時点で操作ミス(エラー)だと判定されていた.しかし,ステアリングの法則の代表的な適用例である階層メニュー操作について考えると,上下に隣接するメニュー項目にはみ出してしまっても,わずかに遅れてから子メニューが展開されるため,短時間であればはみ出しが許容されている.本稿では,このように短時間(1秒未満)のはみ出しを許容する条件下でのステアリングの法則を検証する実験を行い,各遅延時間設定においてステアリングの法則が高い適合度を示すことを確認した.一方で,遅延時間を区別しない場合にはモデルが適合せず,パフォーマンスを正確に推定することが困難であった.実験では通過スピードが遅延時間に対して線形に増大していたため,これに基づいて遅延時間に関わらずパフォーマンスを推定可能な改良版モデルを提案する.

山中 祥太(ヤフー)
エンタテインメントコンピューティング研究における評価問題の解決に向けての施策の実践 (013)
(16) エンタテインメントコンピューティング研究における評価問題の解決に向けての施策の実践

エンタテインメントコンピューティング研究における問題点の一つに評価がある.提案手法が面白かったかどうかをアンケート調査するタイプの評価実験が多く見受けられるが,単に面白かったというだけでは再利用可能な知見としては不十分である.また,エンタテインメントは必ずしも万人受けする必要はないのでこのような評価手法はそぐわない.このため,学術的な積み上げが進みづらいという課題を抱えている.この問題に対し,本稿ではエンタテインメントの定義の明確化に向けての議論を実施し,エンタテインメントコンピューティング研究の評価の仕組みを提案する.さらにこの仕組みをエンタテインメントコンピューティングシンポジウム2018にて試行した結果を報告する.

水口 充(京産大),片寄 晴弘(関西学院大)
ソーシャルメディアにおける意図の相違の調査 (030)
(17) ソーシャルメディアにおける意図の相違の調査

ソーシャルメディアにおいて投稿者が発信した情報に対して,投稿者と受け手の間での意図の相違が生じることがある.そこで,我々はこのような意図の相違の要因を探る.特に,投稿者が情報を他者に伝達する際に,自身の目的を達成することを重視した利己主義と他者にとって有益であろうとする利他主義のどちらの意図をどの程度強く持っていたかに注目する.投稿者の投稿における利他主義と利己主義の強さと,受け手から見た投稿者の利他主義と利己主義の強さから,投稿者の共有行動に対する両者の評価の差異を確認した.また,投稿者の心理学的特徴や一般的な利己主義及び利他主義に関する態度,ソーシャルメディア上の行動を取得し,上記で確認された差異との関係を明らかにした.

大石 悠介,冨永 登夢(阪大),土方 嘉徳(関西学院大),山下 直美(NTT)
CodeGlass: GitHubのプルリクエストを活用したコード断片のインタラクティブな調査支援システム (016)
(18) CodeGlass: GitHubのプルリクエストを活用したコード断片のインタラクティブな調査支援システム

ソフトウェア開発においてソースコードの理解は必要不可欠である.特に,実際の開発においてはコードの一部分(コード断片)の理解が必要となることが多い.我々が行ったインタビュー調査では,GitHubのプルリクエストの説明文とコメントに,コード理解において有用な情報が含まれていることが明らかとなった.しかし既存のシステムでは,プルリクエストがコード断片の理解支援のためには十分に活用されていない.そこで我々は,ユーザが選択したコード断片に関連する過去のプルリクエストを抽出し,ユーザに提供するCodeGlassを開発した.CodeGlassでは,プルリクエストの説明文を解析し,実装内容や開発背景に関する文章をインターフェース上で強調して表示することが可能となっている.CodeGlassのアルゴリズムにより,選択されたコード断片が過去のバージョンにおいて分裂していた場合にも,関連する過去のプルリクエストをユーザに提供することができる.我々が行ったCodeGlassの定量的および定性的評価の結果,コード断片の理解や専門的用途におけるCodeGlassの有用性が確認された.

柴藤 大介,有薗 拓也,宮崎 章太,矢谷 浩司(東大)