チャットボットにおける時間要素の設計について (057)
(1P01) チャットボットにおける時間要素の設計について

テキストまたは音声によって利用者と対話を行うチャットボットが広がり始めており,以前は論理的整合性のある対話の実現手法に研究の主眼があったが,最近では,ボットの性格づけや表現手段,それにより利用者が受け取る印象の相違などの検討も進みつつある.本稿では,これまであまり検討されていなかった,ボットの発話タイミングに注目し,その微妙な相違が人間側に与える印象について基本的な論考を行う.大学一年生160人に対するアンケートによれば,チャットボットの用途としては,たとえば天気等の現実的な情報取得だけでなく,自分が退屈なときなどの話し相手としての期待も高く,利用者の印象に影響を与える発話タイミングの微妙な制御はチャットボットの有用性に大きく影響する可能性が高い.従来研究のなかでは,ロボットによる演劇に関しても発話タイミングに関する検討が行われているが,自由な対話における発話タイミングについては,さらなる検討が必要と考える.

神場 知成(東洋大)
戸口通信システムの障がい者支援への応用 (065)
(1P02) 戸口通信システムの障がい者支援への応用

介助を必要とする障がいを持つ人々の中には,気軽に周囲に支援を依頼しづらいと感じている人もいる.本研究では,戸口通信システムを利用し,このような障がい者支援の課題に取り組む.大学における障がい学生対応の関係者と意見交換を行った結果,戸口通信システムに,従来想定していたものと異なるニーズがあることが判明した.更に,障がい者に支援者の有無を知らせるアウェアネス機能を拡充した.本稿では,以上について報告する.

神田 結衣,松崎 良美,吉村 麻奈美,滝澤 友里,松岡 淳子,村山 優子(津田塾大)
CIEDE2000色差式を用いた量的データ表現のための配色作成法 (141)
(1P03) CIEDE2000色差式を用いた量的データ表現のための配色作成法

情報可視化における配色については,これまで多くの研究がなされてきた.しかし我々の知る限りでは,量的データを表現する配色の作成について色差が厳密に扱われている手法は存在しない.そこで我々は新たに,最新の色差式であるCIEDE2000色差式を用いて色差が均等な配色の作成手法を提案する.CIEDE2000色差式はCIE76に比べて計算が複雑であるためにCIELAB色空間の値から色差を推測することが難しい.提案手法では力学モデルを用いてCIELAB色空間を探索することで良い配色を求める.また,提案手法では量的データに適した配色として,与えられた2色を元にグラデーションを作成する.この方法ではRGBで表現可能なすべての2色から配色を作成することが可能であり,可視化の設計者はあらゆる色の利用を検討することができる.

三井 稔之,三末 和男(筑波大)
歩行中の利用を考慮したスマートウォッチ向けカウントダウン型電車時刻表 (143)
(1P04) 歩行中の利用を考慮したスマートウォッチ向けカウントダウン型電車時刻表

スマートフォンやタブレット端末が普及した現在,ウェアラブルデバイスが注目されている.ウェアラブルデバイスのひとつであるスマートウォッチは,表示領域が小さい反面,容易に画面を確認し,素早く操作することができる.本研究では,電車時刻表アプリケーションに着目し,歩行中の利用を想定したカウントダウン型電車時刻表のユーザインターフェースを設計し,試作,評価を行った.文字入力を必要としない簡易な出発駅・方面選択方式と,GPSで得たユーザの位置まで考慮して乗車するための状況を伝えるリアルタイム性を特徴としている.6名の実験協力者により10日間の評価実験を実施し,アンケート調査で良好な主観評価値を得るとともに,インタビューではさらなる改良のためのコメントを得た.

髙橋 智也,加藤 恒夫,山本 誠一(同志社大)
プログラミングワークショップにおけるプロジェクション・プレイの実践 (152)
(1P05★) プログラミングワークショップにおけるプロジェクション・プレイの実践

2020年のプログラミング教育義務化に伴い,プログラミング教育の需要が高まる中,その実践の例が求められている.本研究ではプログラミングワークショップにおけるプロジェクション・プレイと名付けた表現活動の提案を行い,この手法を小学生を対象としたプログラミングワークショップで実践する.また,プロジェクション・プレイがプログラミングワークショップの場に与える影響を記録し,その中で特に参加者が目標を実現するために他の参加者と関わりながら自身の制作を行えるような,協働を含む活動を生み出すことを目標とする.

飯塚 昂大,原田 泰(はこだて未来大)
コミュニケーションが苦手なゲーマーの為のゲームプレイまとめ動画自動編集システム (165)
(1P06) コミュニケーションが苦手なゲーマーの為のゲームプレイまとめ動画自動編集システム

本研究では"コミュ障"ユーザがSNS上の友人とのオンラインマルチゲームプレイを録画し,共有したい箇所を抜粋し一本のまとめ動画に自動編集するシステムを提案する.近年,SNSの普及やオンラインマルチプレイが可能なゲームの増加で遠隔地にいる友人とコミュニケーションをすることが容易になった.他者との会話に苦痛を感じる"コミュ障"の人にとって,これらのオンライン空間は友人とコミュニケーションを取りやすい環境である.そこで本稿ではオンラインマルチプレイを録画した全員分の動画からユーザが共有したい箇所を抜粋し一本の動画にまとめる事でコミュニケーションを支援するシステムを提案し,プロトタイプを作成した.

須田 まり奈,栗原 一貴(津田塾大)
重症心身障がい児者施設における映像投影型エンタテイメントシステムの検討 (169)
(1P07) 重症心身障がい児者施設における映像投影型エンタテイメントシステムの検討

本研究では,重症心身障がい児者施設で生活している児童を対象とした娯楽システムについて考察する.本研究で対象とする施設では,児童が共用スペースや個室で長時間待たされるケースが日常的に数回発生する.そこで筆者らは現在,この時間を楽しく過ごすことを可能にする,可搬型の映像投影型エンタテインメントシステムについて検討を進めている.本稿では,提案システムの概要およびプロトタイプシステムの試作結果について述べる.

服部 祐季,塙 大,鈴木 賢一(名古屋市立大),高野 真悟(彫刻家)
骨伝導マイクを用いた咀嚼回数向上支援システムのフィードバック方法の検討 (178)
(1P08) 骨伝導マイクを用いた咀嚼回数向上支援システムのフィードバック方法の検討

肥満は咀嚼回数を向上させることで抑制可能であるが,日常生活の中で常に意識し続けることは難しい.従来の咀嚼回数測定装置は,リアルタイムで測定していないことや,装置自身が大きく,日常生活の中では用いることが難しいという問題点もあった.本研究では,日常生活の中でも利用可能となるように,安価で小型の骨伝導マイクとスマートフォンまたはスマートウォッチで構成する咀嚼回数支援システムを開発し,咀嚼回数向上に適したフィードバック方法を検討した.本システムを用いて22〜23歳までの成人男性18人に対し実験を行い,その効果を確認した.咀嚼回数は音声解析により約91%,発話時間は約96%の精度の判定が可能となった.また,スマートフォンまたはスマートウォッチでの視覚フィードバックの評価では,フィードバック有りでは無しの場合と比べて約14%の咀嚼回数の増加が確認された.

三井 秀人(青山学院大),横窪 安奈(青山学院大/お茶の水女子大),ロペズ ギヨーム(青山学院大)
仮想空間における片づけ行動の振り返りによる認知トレーニングシステム (201)
(1P09★) 仮想空間における片づけ行動の振り返りによる認知トレーニングシステム

認知症・軽度認知障害や高次脳機能障害者などの認知障害者が増加する中で,認知症予防やリハビリテーションにおいて,日常生活の質を向上させるため,調理や片づけなどの生活行動に基づく認知トレーニングの必要性が増してきている.ここで,認知トレーニングを円滑に進めていくためには,病識の改善が不可欠である.我々は,認知機能をリアルタイムで評価しながら,体験映像から気づきを発現させる振り返り支援による認知リハビリテーションの研究を推進している.しかしながら,認知トレーニング空間には制約があるため,空間を症状に応じて拡張できる機能が求められている.本論文では,生活行動として,片づけ行動を採り上げ,仮想空間における片づけ行動の振り返りによる認知トレーニングシステムを提案するとともに,既存の認知トレーニング手法と対比し,提案する認知トレーニングシステムの検証を行う.

佐野 睦夫,辻村 拓実,大井 翔(大阪工大),田渕 肇,斎藤 文恵,梅田 聡(慶大)
災害派遣医療チーム内におけるSNSベースの情報管理システムの提案と開発 (207)
(1P10) 災害派遣医療チーム内におけるSNSベースの情報管理システムの提案と開発

災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team,以下DMAT)は2016年に発生した熊本地震の際,隊員間の情報共有手法としてSNSであるLINEの利用を試みた.DMATの報告会ではLINEでの情報共有が便利であると報告された.一方,多くの情報が一箇所に集中することで,重要なメッセージが埋もれてしまう情報過多の問題も報告された.我々はこの問題を解決するシステムを設計するために,熊本地震の際に出動した京都大学医学部附属病院DMATのLINE会話ログの分析した.特に,分析結果から指示の重要性に着眼し,指示の管理を中心としたシステムを設計した.LINE上の会話から指示を抽出して管理し,Webアプリケーション上で指示の進捗報告ができるシステムを実装した.

河合 俊樹,茅野 宏紀,神原 春香,松村 耕平(立命館大),杉山 治,下戸 学,大鶴 繁(京大),野間 春生(立命館大),黒田 知宏(京大)
新聞記者体験による展示支援の提案 (220)
(1P11) 新聞記者体験による展示支援の提案

近年,博物館では来館者の理解促進やコミュニケーション活性化のために展示支援が行われているが,従来の研究では展示支援のコンセプトは重視されていない.本研究では,ニュースパークの展示意図に基づき,小学生を対象にした新聞記者体験による展示支援の提案を行う.記者メモや腕章などを用意し,来館者の展示回覧と理解促進を促したところ,変化を起こすことが出来た.紙を用いることでコストや継続性にも利点が見られた.また,展示支援に関わる職員が生まれることで,博物館職員の間でコミュニケーションが活性化するという予想外の効果もあった.

武田 悠希,藤代 裕之(法政大)
IndexAccess2: 大画面スマートフォンにおける片手操作性を向上する背面インタフェース (241)
(1P12) IndexAccess2: 大画面スマートフォンにおける片手操作性を向上する背面インタフェース

大画面タッチスクリーンを持つスマートフォン(以下,大画面スマートフォン)は,一度に多くの情報を表示でき,文字や画像の視認性が高いなどのメリットがある一方で,片手操作時において,画面上や左右端など,親指操作が困難な画面エリアが存在することが課題である.この背景を踏まえ,我々は,片手操作性を向上するための補助操作を行う背面入力装置IndexAccess2を提案する.IndexAccess2は,端末背面に設置したタッチパネルにおける人差し指の操作によって画面表示全体を移動し,対象を親指が届く場所まで引き寄せることで操作を可能にする手法である.画面移動インタラクションの設計のため,実装したプロトタイプ1を用いて調査実験を実施した.実験結果から,本装置に相応しい画面移動倍率など操作性向上の必要条件について考察を行い,得られた知見に基づき,画面の複数回移動を可能にするプロトタイプ2を実装した.プロトタイプ2について,13人の実験参加者を対象とした評価実験を行なったところ,全画面にわたる平均ポインティングエラー率が10.2%,平均ポインティング時間が1889msであった.プロトタイプ1,2の実験結果を比べたところ,プロトタイプ2の方が,全画面においてポインティング時間を維持しながら,エラー率約8%減少する結果となった.

日高 詩織,馬場 哲晃(首都大)
野球素振りにおける仮想環境を用いた打者のイメージづくりと2次元画像を用いた視覚フィードバックによる正確性向上の検証 (249)
(1P13★) 野球素振りにおける仮想環境を用いた打者のイメージづくりと2次元画像を用いた視覚フィードバックによる正確性向上の検証

野球の打撃練習法で広く知られている「素振り」では,投手の動作や投球をイメージしてスイングすることが重要である.しかし,正確なイメージをすることは困難である.また,素振りでは打球や打感などによるフィードバックを得ることができないので,イメージした投球にあった素振りが行えているかは練習者には分からない.そこで,仮想環境を利用して投手や投球の様子を複数回練習者に提示することでイメージを強化させる.その後行うスイング位置を2次元画像で提示する手法を提案する.本稿では,野球未熟練者を対象に2次元画像の提示により,イメージした投球のコースに正確にスイングできたのかの検証を行なった.その結果, 2次元画像の提示により,スイングの正確性が向上する傾向がみられた.

内山 元晴,Zou Liyuan(立命館大),樋口 貴俊(福岡工大),Roberto Lopez-Gulliver,松村 耕平,野間 春生,伊坂 忠夫(立命館大)
On Shoulders of Infants: 「子供の発想」を利用するアイデア生成技法の提案 (258)
(1P14) On Shoulders of Infants: 「子供の発想」を利用するアイデア生成技法の提案

アイデア生成の上流過程である発散的思考活動では,幅広い視点から様々な知識や関連情報を収集することが求められる.特に新奇性が高いアイデアを産み出すためには,一見飛躍しているように思える意外な関連性のある知識や情報を得る必要がある.しかしながら,特になんらかの専門的な知識を有する者にとっては,その知識の枠を超えて発想を飛躍させることは容易ではない.この問題を解決するために,本研究では「子供の発想」に注目する.子供はしばしば,大人が思いつかないようなアイデアを思いつく.しかしながら,ほとんどの場合,子供のアイデアは非現実的なものであり,そのままでは役にたたない.そこで,同じ課題に対する子供のアイデアを,専門知識を有する大人に提供し,これを参照しながら実用的なアイデア生成を行う手法を提案する.予備的な実験の結果,子供のアイデアが大人のアイデア生成に影響を与える可能性が示唆された.

赵 晓婷,高島 健太郎,西本 一志(北陸先端大)
脳症判定における熟練者と初学者の注目領域の比較検討 (292)
(1P15) 脳症判定における熟練者と初学者の注目領域の比較検討

本稿では,熟練医師の知見を明らかにすることを目的とし,てんかん重積を発症した小児患者の脳波データから診断時に注目すべき領域を視線計測とマーキングを用いて検証する.てんかん重積の脳波データは健常者の脳波データと非常に類似していることが多い.このため,充分な知見を持っていない初学者が,てんかん重積と診断すべき注目領域を見つけ出すことは難しい.実験では,熟練者と初学者に患者と健常者の脳波データを提示し症名を診断させるタスクを与えた.タスク実行中の熟練者と初学者が注目する領域を視線計測とマーキングを用いて獲得し,いくつかの傾向がみられることを確認した.

井上 路子,近藤 貴大,白岩 史,大栗 聖由,西山 正志,岩井 儀雄(鳥取大)
使用食材に注目した複数レシピの路線図化 (302)
(1P16) 使用食材に注目した複数レシピの路線図化

現在,誰もが気軽に投稿できる料理レシピサイトが世間に普及している.性質上,同じ料理に対して多数のレシピが存在することも多々ある.各レシピは料理の根幹となる食材は共通していても,その他の食材や調味料に差異が現れる.利用者がある料理を作ろうとレシピを検索した際,自宅にある食材の状況や調理器具の有無,調理手順の煩雑さなどを鑑みて,多数のレシピから一つに選定する.利用者がおかれた状況に適合するレシピを発見するには,複数のレシピに目を通すことになり,多くの時間と手間を費やしてしまう.そこで本研究では,各レシピの食材に注目し,複数存在する同一料理に対するレシピを鉄道路線図のように表して差異を可視化する.そして,利用者がレシピを一つに選定することの支援を行う.本論文では,レシピを路線図化するシステムのプロトタイプを実装し,評価実験を行った.

紺屋 夏月,丸山 一貴(明星大)
函館の新しい景色を作る体験型デジタルメディアコンテンツの制作 (151)
(1P17) 函館の新しい景色を作る体験型デジタルメディアコンテンツの制作

科学技術やデジタル技術の進化によりメディアやメディアによって情報を伝達するための技術であるメディアテクノロジーも様々な形で進化している.これらの表現や技術はメディアアートなどへの応用により,少しずつ一般の人の目に触れる機会を増やしている.そんな中,近年これらの技術は地域へ広がっていく兆しがある.そのため,いまだ登場し始めて間もない新しい技術や,それを利用した表現にどのような可能性があるのか,それらはどのように関係しあうのかを明かすことが必要とされる.そこで,メディアテクノロジーの中でも自らの身体を伴う体験を可能とするインタラクション技術に注目し,実際に函館において地域性を反映させた体験型のデジタルコンテンツを制作する.その作品を情報発信のコンテンツとして,一般の人々に体験してもらい,インタラクション性を利用して函館の魅力の再認識あるいは新たな価値創出を目指す.そしてその体験の様子の観察や調査から最新のメディアテクノロジーの可能性や地域との関係性について考察する.

鳥井 裕太,原田 泰(はこだて未来大)