分割磁界供給型骨伝導による常時装着音響デバイス (023)
(1) 分割磁界供給型骨伝導による常時装着音響デバイス

常時装着可能な音声インタフェースは人間と常にコンピュータと接続し能力を拡張させるための手段として有効である。従来のイヤフォンや骨伝導型音響装置は常時装着性に課題があった。本研究では、頭皮に接着可能な小型磁石と、着脱可能なコイル部からなる分離型構成により、ヘッドセット等を要さずに装着可能な音声デバイスを提案する。提案構成により、通常の聴覚以外にもコンピュータ接続可能な聴覚を人間に与えることができる。聴覚検査により、本機構が通常のカナル型イヤフォンと同等の性能をもつこと、さらに低周波領域においては振動を皮膚で感じることによる知覚も可能であることを確認した。

暦本 純一(東大/ソニーCSL)
Scoopirit: 水面反射を用いた空中像とのインタラクション (019)
(2) Scoopirit: 水面反射を用いた空中像とのインタラクション

本稿では,水面反射を用いて空中像を水上及び水中に結像する光学系を提案する.実装したシステムを光学的に評価し,本手法の有用性を検証した.また,水位の変動に対して超音波センサを用いたトラッキングを行い,空中像を水ごとすくい上げるインタラクションを実現した.



松浦 悠(電通大),小泉 直也(電通大/JST)
電気刺激と静電吸着を組み合わせた複合触覚ディスプレイの官能評価 (022)
(3) 電気刺激と静電吸着を組み合わせた複合触覚ディスプレイの官能評価

人間は外部からの複数の刺激の組み合わせにより触感を知覚しており,よりリアルな触感を再現するためには,複数の触覚ディスプレイを組み合わせることが有効である.著者らはこれまでに,電気刺激触覚と静電吸着触覚に着目し,それらを組み合わせて提示可能な複合触覚ディスプレイとその作成手法を提案してきた.これにより電気刺激による垂直方向の振動と静電吸着による水平方向の摩擦を組み合わせて提示できる.本研究の目的は,電気刺激触覚と静電吸着触覚の同時提示によって,実際にユーザが知覚することのできる触覚についての官能評価実験を実施し,提案した複合触覚ディスプレイの使用による特性を調査することである.実験の結果,電気刺激と静電刺激を組み合わせることでリアルな触感が提示できる可能性が示唆された.また,提案した複合触覚ディスプレイの応用例として,絵や写真など紙媒体コンテンツに対して触覚情報を付与するアプリケーションを示した.

加藤 邦拓(明治大/日本学術振興会),石塚 裕己(香川大),梶本 裕之(電通大),宮下 芳明(明治大)
自己帰属感の生起過程におけるモーターコマンドからの予測可能性による影響の調査 (033)
(4) 自己帰属感の生起過程におけるモーターコマンドからの予測可能性による影響の調査

自己帰属感の生起は,主に視覚と体性感覚の一致性および視覚と運動指令からの予測の一致性の認知によって引き起こされることが先行研究により明らかになっている.しかし能動的運動時にどちらの認知が主要な役割を果たすのかは明らかではない.本研究では,予測との一致性は保ちつつ,視覚と体性感覚との間に不一致をもたらすことで体性感覚と予測とを分離した検証を行った.具体的には,被験者には複数の映像から自己の動きに同期する映像を見つけるタスクを課した実験を実施した.このとき被験者の手の動きを様々な角度で回転させた映像を呈示することで,視覚と体性感覚との間の不一致条件を作り出し,また被験者の運動に制限を設けることで,手の動きが回転して呈示されても視運動を予測可能な状況を作り出した.実験の結果,能動的運動時の自己帰属感の生起過程では視覚と予測の一致性が優位に働くことが明らかになった.また,この予測可能性は手の運動パターンやその見た目にも影響されることが示唆された.

齊藤 寛人,福地 健太郎(明治大)
大規模フィールドスタディに基づく年齢層別のタッチ・タンジブル・ジェスチャUIを用いたパブリックディスプレイの利用特性 (014)
(5) 大規模フィールドスタディに基づく年齢層別のタッチ・タンジブル・ジェスチャUIを用いたパブリックディスプレイの利用特性

本研究は,人々がタッチ・タンジブル・ジェスチャUIを用いたパブリックディスプレイをどう利用し,年齢がこの利用に影響を及ぼすのかどうかを探求する.ミュージアムに設置された8つの体験型展示(タッチUI3つ,タンジブルUI3つ,ジェスチャUI2つ)を観察の場とした,通算約31ヶ月に渡るフィールドスタディを実施した.10~70歳以上までの7つの年齢層に分けられた一般者の大規模なデータ(8405人分の行動データと1203人分のアンケート回答)を収集・分析し,以下のことが明らかになった.(1)年齢層による違い(検定統計量に基づく検討):10代はパブリックディスプレイ空間に入る割合が最も低かった;ディスプレイ空間に入ってから操作するまでに要する時間は,年齢の上昇に伴って長くなった;10代と70歳以上は,ディスプレイ空間に他者と一緒により長く滞在した.一方,関与や好みに関しては,年齢層間の差は小さかった.(2) UIによる違い(検定統計量に基づかない検討):パブリックディスプレイ空間に入った来場者の割合はタッチUIで高く,パブリックディスプレイを操作した来場者の割合はジェスチャUIで低かった.UIタイプごとに複数のアプリケーションのデータを収集したため,本研究の知見はアプリケーション(コンテンツ)に依存していない.

市野 順子(東京都市大),磯田 和生,久永 一郎(大日本印刷)
家族介護者間の情報共有が家庭内コミュニケーションに及ぼす影響 (042)
(6) 家族介護者間の情報共有が家庭内コミュニケーションに及ぼす影響

これまでの研究から,トラッキング技術には家庭内介護や家族介護者と患者の人間関係を改善させる効果があることがわかっている.本論文では,トラッキングツールで蓄積した介護記録(介護の体験談と患者の健康状態)を他の家族介護者と共有することが,介護や家庭内のコミュニケーションに与える影響について調査する。従来の研究は,家族介護者同士で情報共有することが有益であることを示唆しているが,介護記録は患者に関する個人的な情報も含むため,患者が介護者に反感を抱いたり,信頼関係を損なってしまう可能性がある.こうした課題に取り組むために,以前に開発したトラッキングツールに共有機能を組み込み,うつ病の患者を介護する家族介護者に対して,ホームユース調査を実施した.その結果,共有機能は家族介護者のみならず患者にも好影響を及ぼすことや,普段なら家庭内で話しづらい病気に関する話題について介護者と患者が話し合い易くさせる効果があることがわかった.

山下 直美(NTT),葛岡 英明(筑波大),平田 圭二(はこだて未来大),荒牧 英治(NAIST),工藤 喬(阪大),服部 一樹(筑波大)
鼻腔内の温度計測に基づく状況認識手法 (040)
(7) 鼻腔内の温度計測に基づく状況認識手法

ウェアラブルコンピューティング環境では,ユーザは小型化したセンサを身体の様々な部位に装着し,これらのセンサデータからユーザの状況を認識することで,ユーザの状況に応じた様々なサービスを享受できる.ユーザの様々な状況を認識するためには,様々なデータを取得する必要があるが,ユーザの行動を制限しないために,装着するセンサ数や部位は少ない方がよい.そこで本研究では,鼻の中(鼻腔)から得られる情報に注目する.鼻腔内に配置したセンサにより呼吸や鼻づまりなどが検出でき,呼吸は呼吸数,リズムなどから身体内部の情報に加えて,ユーザの体内に外気が流入するのでユーザの外気温などの体外の情報も得られる.また,鼻づまりは自律神経の支配を受けるので,ユーザの心理的情報を得られる.本研究では鼻内部の空間である鼻腔から得られる情報に基づいた状況認識手法を提案する.評価実験を行った結果,呼吸,作業負荷を96.4%で,6つの日常動作を54%で認識でき,実生活上での8つの動作に対して86%の認識率となった.

小玉 亮輔(神戸大),寺田 努(神戸大/JST),塚本 昌彦(神戸大)
アクティブ音響センシングによる日常物体識別と位置推定 (025)
(8) アクティブ音響センシングによる日常物体識別と位置推定

実空間内の物体の種類や位置のような情報を取得できると,実生活において様々な支援が可能となる.そこで本研究では,そのような物体情報を取得するため,アクティブ音響センシングを用いた物体情報識別手法を提案し,検討を進めている.本稿では,特にどんな物体がどこに置かれているかという物体識別および位置情報の取得手法を提案し,評価実験を通じて提案手法の有効性を論じる.システムのプロトタイプを実装し,装置上の単一物体に関してその種類と位置をそれぞれ98.2%,85.5%の精度で取得できることを確認した.次に,装置上の複数の物体に関して評価実験したところ,最大93.8%の精度でそれぞれの物体の種類と位置を取得することができた.

岩瀬 大輝,伊藤 雄一,秦 秀彦,山下 真由,尾上 孝雄(阪大)
ドアコムAR:ポータルを用いた空間接続表現手法 による対話相手の存在感の強化 (050)
(9) ドアコムAR:ポータルを用いた空間接続表現手法 による対話相手の存在感の強化

本研究では,侵入可能な枠を境界として遠隔地間を繋ぐ映像表現手法を提案する.提案手法では,AR/MR技術を用いることで,実際の空間に遠隔地へと繋がる枠を出現させる.この空間を繋げる枠を本研究ではポータルと呼ぶ.ポータルを超えて遠隔の空間に侵入する映像によって,対話相手に自身の空間へと侵入されている感覚「被侵入感」を提示し,テレプレゼンスの向上を目指す.提案手法を実装したビデオチャットシステム「ドアコムAR」を開発し,提案手法が存在感に与える効果を検証を行った.検証の結果,ポータルを介して遠隔地間を繋ぎ,境界を超えてくる表現によって被侵入感を与えられることが分かり,存在感が向上することが確認できた.また,提案手法は対話相手の空間の映像を表示しているにも関わらず,従来手法と同様に同じ部屋にいる感覚を与えることが分かった.

濱上 宏樹,吉野 孝(和歌山大)
鏡型ビデオ会議における空間の移動感と物体の共有感の強化 (004)
(10) 鏡型ビデオ会議における空間の移動感と物体の共有感の強化

鏡に見立てたディスプレイに対話相手側の映像だけでなく自分側の映像も合成して提示する鏡型ビデオ会議と呼ばれる遠隔会議の手法が提案されている.この手法では,相手と位置を交代するなど移動を伴うインタラクションを行うことで相手側の空間にいるという移動感が得られる可能性がある.また,両方の空間に同じ物体を用意して鏡映像上の同じ位置に設置することで同じ物体を共有しているという共有感が得られる可能性もある.本研究では,これらの感覚を強化することが鏡型ビデオ会議において相手と同じ部屋で対話している感覚である同室感を向上させると考え,相手が座っていた場所の体温の痕跡をヒータで再現する工夫や,回転位置が同期する回転テーブルを両方の空間に設置する工夫を行った.その結果,これらの工夫によって空間の移動感や物体の共有感が強化され,通常のビデオ会議よりも同室感が向上することが分かった.

田中 一晶(京都工繊大),西村 庄平,耿 星,中西 英之(阪大)
ToolShaker: 日用品自体を駆動する情報提示手法の提案 (035)
(11) ToolShaker: 日用品自体を駆動する情報提示手法の提案

近年,日常生活における情報提示手法のひとつとして,日用品を活用する取り組みが行われている.これらの研究では,日用品にセンサやアクチュエータなどを組み込み,日用品自体をロボット化/ディスプレイ化することで,日用品の用途/機能に合わせた適切な「情報提示機能」を付加することができる.しかし一方で,サイズ/重量への影響が大きく,特に小型の日用品では使い勝手が悪くなる問題があった.本研究では,食器/工具等の「磁性を持つ日用品」に着目し,日用品自体に手を加えること無く「情報提示機能」を付加できる手法を提案する.具体的には,壁面や机上に収納/設置されたこれらの日用品に対して外部から磁力を加えて,日用品を物理的に「動かす」ことで,様々な情報提示を行うシステム「ToolShaker」を提案する.

道貝 駿斗,沖 真帆,塚田 浩二(はこだて未来大)
Lyric Jumper:アーティストごとの歌詞トピックの傾向に基づき様々な歌詞に出会える歌詞探索サービス (007)
(12) Lyric Jumper:アーティストごとの歌詞トピックの傾向に基づき様々な歌詞に出会える歌詞探索サービス

本稿では,アーティストごとの歌詞トピックの傾向に基づいて様々な歌詞に出会える歌詞探索サービスLyric Jumperについて述べる.各アーティストには,「恋愛」や「友情」といったトピックの歌詞が書かれやすい,といった傾向が存在する.Lyric Jumperではそのような傾向を考慮することで,アーティストごとのトピックの傾向の可視化や,トピックの類似度に基づくアーティストの推薦などの機能を提供する.そうした機能を利用することで,Lyric Jumperによって様々なアーティストや楽曲の歌詞へのユーザの理解が深まることを目指している.Lyric Jumperの実現にあたり,本稿ではアーティストごとの歌詞トピックの傾向を推定するためのモデルを提案する.提案モデルでは,各アーティストがトピックの分布を持ち,その分布に応じて各歌詞にひとつのトピックが割り当てられる.歌詞データセットを用いた実験により,従来研究において歌詞トピックを推定する主要な手法であるlatent Dirichlet allocation(LDA)よりも提案モデルが優れていることを定量的に示した.さらに,webサービスとして公開したLyric Jumperにアクセスした92,962ユーザの操作ログおよび,Lyric JumperについてTwitterに投稿されたコメントを収集し,Lyric Jumperの有用性について分析を行った.

佃 洸摂,石田 啓介,後藤 真孝(産総研)
音楽による操作者と移動ロボットとの一体感の創出 (003)
(13) 音楽による操作者と移動ロボットとの一体感の創出

操作者が遠隔地でインタラクションを行うためのテレプレゼンスロボット等の移動ロボットは人と身体性が大きく異なるものが多い.そのような移動ロボットの遠隔操作において,ロボットの移動を操作者自身の移動であると感じる運動主体感や操作者がロボットと同じ部屋にいるような感覚である同室感を強化するため,本研究では,ロボットの遠隔操作に直接関係しない音楽に同期した自律動作を操作者に提示する手法を提案する.実験の結果,提案手法は,操作者もロボットも同じように音楽に乗っているという感覚によって,身体性が異なるロボットの操作であっても運動主体感や同室感を強化できることが分かった.また,音楽を聴きながらの通常の遠隔操作では,コースとは無関係に蛇行する等の不必要と思われる操作が多数観察されたが,提案手法には,そのような操作を抑制する効果があることも分かった.

小原 宗一郎,田中 一晶(京都工繊大),小川 浩平,吉川 雄一郎,石黒 浩(阪大/JST ERATO),岡 夏樹(京都工繊大)
多様な雑音に対して耐性のある声質変換システム (026)
(14) 多様な雑音に対して耐性のある声質変換システム

声質変換とは,ある人物の話した音声を,まるで別の人が話したかのように変換することである.声質変換はさまざまなアプリケーションへの応用可能性を秘めており,音声チャットや発話障害者支援,テーマパークの着ぐるみ,カラオケ,VRなど多岐にわたる.しかし,既存の声質変換手法の変換速度はリアルタイム性に欠ける.また,入力音源に雑音が含まれていると期待通りに変換できないという問題がある.本研究では,Deep Neural Network (DNN)を駆使することで,雑音耐性があり,リアルタイム性のより高い声質変換システムを提案する.評価実験の結果,声質変換のDNNを並列処理可能なモデルに改良し,精度を落とさずに学習速度と変換速度を向上させた.また,多様な種類の雑音が含まれた話者音声に対して,雑音を除去せずに声質変換した場合よりも高い精度で声質変換できることがわかった.

佐藤 邦彦(東大),暦本 純一(東大/ソニーCSL)
自動変形可能なタイル型デジタルテーブルを用いたユーザのリーチ拡張に関する検討 (046)
(15) 自動変形可能なタイル型デジタルテーブルを用いたユーザのリーチ拡張に関する検討

人の腕の長さは限られているため,大きなデジタルテーブル上の遠くのコンテンツを操作することは難しい.そこで本研究では,ユーザの操作可能範囲(リーチ)を拡張することを目的とし,動的に変形可能なデジタルテーブルを検討する.複数の小型デジタルテーブルをタイル状に配置して大きなテーブルを構成し,それぞれの位置をモバイルロボットによって個別に制御することでテーブル面を動的に変形させる.例えば,テーブルを分割させれば,ユーザはそれによって生まれた空間(テーブルの内部)に立つことができるため,テーブル面端のコンテンツにも無理のない姿勢で到達することができる.このように,これまで静的であったテーブル面を状況に応じて変形させることでユーザのリーチを大幅に拡張することができる.本研究では,複数のデジタルテーブルを連携利用した場合,ユーザはどのようなレイアウトを好むかを調査し,主要な5つのレイアウトを見出した.その結果をもとにして,プロトタイプを作成し,既存の代表的なインタフェースであるパン(スクロール)と比較して,いくつかの条件において提案する動的変形型デジタルテーブルが早く低負荷なインタラクションを実現できたことを確認した.

工藤 義礎,高嶋 和毅(東北大),モルテン フィールド(Chalmers University of Technology),北村 喜文(東北大)
熱溶解積層方式3Dプリンタを用いた表現と造形手法のデザインのためのパラメータ探索手法 (021)
(16) 熱溶解積層方式3Dプリンタを用いた表現と造形手法のデザインのためのパラメータ探索手法

熱溶解積層方式(FDM; Fused Deposition Modeling)3Dプリンタの表現力拡張を目指して,造形時の各パラメータを探索する手法を提案する.まず,FDMを制御するためのパラメータを整理し,これらの変化具合を波形編集のように記述可能にするシステムGcode synthesizerを提案する.このシステムは,ノズルの移動経路,高さ,移動速度,そして樹脂量という4つのパラメータの変化を1本の線状の造形物に反映して出力する.次に,こういったパラメータ変化を構造として記述可能にするシステムStructure editorを提案する.このシステムはキャンバスを持っており,構造をパスのように記述することを可能とする.パスの各頂点では,樹脂量,造形温度,停止時間のパラメータを追加することができる.本稿では,これらのシステムを用いて先行研究の分析と再現を行い,「造形手法」のデザイン例を示す.FDM方式の3Dプリンタの制御からスタートするものづくり環境について議論するとともに,この方式が目指すべき未来と3Dプリンタを用いた表現について議論する.

高橋 治輝,宮下 芳明(明治大)
TuVe: チューブを用いたディスプレイ (038)
(17) TuVe: チューブを用いたディスプレイ

タブレットやスマートフォンのような,入力面と出力面が一致したインタフェースであるインタラクティブサーフェスは,指などを用いた直感的な情報の操作を可能とする反面,その表面形状は平面である場合が多く,二次元に沿った形でしか情報を提示できない.そこで本研究では,様々な表面形状に適用可能なフレキシブルなディスプレイとして,チューブディスプレイを提案する.チューブディスプレイは,チューブによってディスプレイを構成し,チューブ内の流体によって情報を提示するシステムである.表示筐体にチューブを用いることで様々な形状に適用可能なフレキシブルなディスプレイが実現可能である.本稿では,チューブディスプレイの実現に必要な要素に関して議論し,システムの構成と制御手法を検討した.またその機能を評価するために,提案システムによってピクセルの大きさと位置を制御する実験を行った.結果として,指定した位置へ指定した大きさのピクセルをほぼ誤差なく移動させることができ,提案システムによってディスプレイを実現できる可能性が示された.

井上 佑貴,伊藤 雄一,尾上 孝雄(阪大)
Twitter上のインタラクションと人格特性の変化の関係 (013)
(18) Twitter上のインタラクションと人格特性の変化の関係

本研究では,Twitterユーザを対象に,人格特性の変化と他ユーザとのインタラクションの関係を明らかにした.ここで対象としている人格特性は,Five-Factor Modelとして知られる開放性,誠実性,外向性,協調性,神経症傾向の5次元で構成される.我々はまず,IBMの提供するモデルを用いて,Twitterユーザのツイートから過去と現在の人格特性を推定した.次に,過去と現在の間に,Twitterユーザの人格特性がどの程度変化しているかを確認した.さらに,上述の期間において,Twitterユーザが受け取った返信,引用,そして登録に関するデータを取得し,それらと人格特性の変化量の関係を非線形重回帰分析により明らかにした.この分析から,他ユーザとのインタラクションが人格特性の変化と有意な相関関係を示すことが分かった.最後に,これらの結果を踏まえた考察と今後の展望について述べた.

冨永 登夢(阪大),土方 嘉徳(関西学院大)
自己開示の促しによるコミュニケーション支援システム (006)
(19) 自己開示の促しによるコミュニケーション支援システム

社会心理学では,話者同士の親密度が高まるとより高次の自己開示が行われることが知られている.本稿では,システムによって自己開示を促進することで話者の親密度は高まるか?という研究課題を設定した.課題を検証するため,我々は自己開示の項目を話題としてタブレット上に提示するコミュニケーション支援システムを実装した.自己開示を促されることによるユーザの負担を軽減するため,コミュニケーションが進むに連れてより深いレベルの自己開示項目を提示する段階手法を提案した.段階手法とランダムに話題を提示する手法,システムを利用しない場合の3条件で192名の初対面の参加者による対面式のコミュニケーション実験を実施した.実験の結果,段階手法はランダム手法と比較してシステムの受容性が有意に高いことが確認された.また,システムを利用したコミュニケーションは参加者同士の親密度を有意に向上させる効果を確認した.

池田 和史,馬田 一郎,帆足 啓一郎(KDDI総合研)
一人称ライフログ映像からの顔検出に基づいた社会活動計測 (045)
(20) 一人称ライフログ映像からの顔検出に基づいた社会活動計測

本研究では,無意識的に行われている社会活動の定量化と可視化を目的として,一人称ライフログ映像を用いて,映像中に映り込んだ顔を数えることでカメラ装着者の社会活動を計測する手法を提案する.社会活動の状況を,検出された顔の個数と連続性で決定し,社会活動の量は顔の個数,顔の大きさ,時間継続性で計算する.これにより,カメラ装着者が単に人とすれ違っただけなのか,それとも特定の人と一緒に過ごしていたのか,また,その人数が一人だったのか複数人だったのかを見分けることで,活動の種類を数え分けることができる.社会活動をライフログとして記録し視覚的フィードバックを行うことで,社会活動の充実感の向上と疲労感の低下のような社会的健康に向けた行動変容につながることを期待している.本稿では,学会に参加した複数人の2日間の一人称ライフログ映像から社会活動を計測して提案手法の有効性を検討する.時間継続性を考慮した社会活動のラベル付けをすることで対面コミュニケーション場面を抽出できること,映り込んだ顔の数だけでなく対面距離と継続時間を考慮することで対面コミュニケーションの種類を見分けることが可能になること,複数人の社会活動を計測することで同一時空間に参加していた参加者ごとに役割の相違が顕在化されることが示唆された.

奥野 茜,角 康之(はこだて未来大)