モバイルカメラを用いたデバイス間アドホックアプリケーション共有 (024)
(17INT001) モバイルカメラを用いたデバイス間アドホックアプリケーション共有

モバイルカメラを用いたデバイス間のアプリケーション共有を実現する手法(CamCutter)を提案する.ユーザは,ホストデバイスのディスプレイ上に表示されているアプリケーションウィンドウをモバイルデバイス上のカメラで撮影するだけで,そのアプリケーションをそのモバイル上で操作・実行することができる.CamCutterは,従来のデバイス間での情報共有の方法やツールと比べ,簡単で素早く利便性の高い情報共有を可能とするため,アドホックなミーティングや協調作業場面の利用に適している.本稿では,CamCutterプロトタイプの実装とその性能評価,およびユーザスタディにより示される有用性について報告する.

萩原 拓真,高嶋 和毅(東北大),モルテン フィールド(Chalmers University of Technology),北村 喜文(東北大)
写真ライフログにおける検索クエリを用いた想起補助 (018)
(17INT002) 写真ライフログにおける検索クエリを用いた想起補助

カメラ付き携帯端末の普及に伴い,写真ライフログが実現可能になりつつある.現在,写真ライフログはスマートフォンだけで実現可能であり,1日に多数の写真を投稿しているユーザが多いFacebookやGoogle Photoなどはすでにある種の写真ライフログといえる.しかし,写真ライフログは閲覧の際,写真撮影の意図や目的,写真撮影前後の出来事の想起が困難となる問題が発生する.この問題を解決するため,ユーザが使用した検索クエリをライフログでの想起を促す重要な要素の一つとして捉えた.そこで,写真撮影時の時間軸上の近傍で使用した検索クエリを写真と同時に提示することで,撮影意図や目的などの内向的な行動理由の想起をユーザへ促すことを考えている.本稿では検索クエリを写真と同時に提示することで想起されることに,どのようなものがあるかという基礎的検討を行う.そして,検索クエリの提示が撮影意図や目的などの内向的な行動理由の想起に与える影響を調査するための実験を行った.実験の結果,検索クエリの提示が写真撮影時それに関連する出来事の想起に有用であることが示唆された.

酒田 信親,久保田 彰,冨永 登夢,土方 嘉徳(阪大)
連結した直線経路をステアリングする動作の分析とモデル化 (002)
(17INT003) 連結した直線経路をステアリングする動作の分析とモデル化

ステアリングの法則は,単一の直線経路・環状経路を通過する時間を高精度に予測できることが知られている.また,コーナーで連結された経路を通過する時間を求めるバージョンなど,モデルにさらなる拡張が施されることもある.しかし,連結された直線経路,すなわち幅の異なる直線経路が直線状に繋がったものを通過する動作について詳細に分析・モデル化されたことはない.このような動作は,イラストレーションソフトのラッソ操作(投げ縄ツールのように自由選択をする操作)で求められる.本研究では,連結経路を通過するタスクにおける操作性能を検証するために3つの実験を行った.実験の結果,単一経路と連結経路を比較したとき,ユーザが明確に挙動を変えることを示し,その挙動変化は経路の連結点を通過するよりもかなり前もって決められてることを示した.単一の経路の難易度(ID)を単純に加算することで,経路全体の通過時間を高精度に予測できる(R2 > 0.96)ことがわかったが,より正確に予測可能なモデルを導出して比較議論する.R2および赤池情報量基準(AIC)の値の比較から,2本目の経路に進入する動作をクロッシングタスクと見なしてIDを調整するモデルが最良であることが支持された.

山中 祥太(明治大/日本学術振興会),Wolfgang Stuerzlinger(Simon Fraser University),宮下 芳明
ディスレクシア障害を抱えた人が手軽に使える オンライン動画字幕読み上げシステムの検討 (008)
(17INT004) ディスレクシア障害を抱えた人が手軽に使える オンライン動画字幕読み上げシステムの検討

2016年4月に障害者差別解消法が施行され,障害者に対する社会的障壁をいかに取り除くかを考えることは社会の急務となっている.学習障害の一種であるディスレクシアという障害をもつ人々は,文字言語の認知に困難を抱えており,これは動画視聴の際,字幕により外国語や映像内の状況を理解しなければならない場合も同様である.そこでその心理的負担を軽減するため,映像共有サービスYouTubeを用いて,動画に付属している字幕を多様な合成音声で読み上げることで理解を助けるシステムを提案し,Webブラウザで動作するプロトタイプ実装した.また同障害を持つ当事者,また保護者を対象に実際に字幕を音声合成で読み上げることが有効であるのかどうか国内最大規模の評価実験を実施した結果,有効性が確かめられた.

應武 双葉(津田塾大),栗原 一貴(津田塾大/Diverse技術研究所)
ロボットのNon-Duchenne Smileによる人との社会的結合の強化 (013)
(17INT005) ロボットのNon-Duchenne Smileによる人との社会的結合の強化

人とインタラクションを行うこれまでのロボットは,感情状態に基づいて振る舞うか,相手や状況に応じて社会的に振る舞うか,目的に合ったいずれか一方の感情表現が実装されてきた.本研究では,これらを情動的感情表現,社会的感情表現と定義し,両方を組み合わせた新しい感情表現手法を提案する.人間の表情では,感情によって不随意に変化する目元の表情筋と,随意に制御可能な口元の表情筋によって,目は笑っていないが,口元は社会的に微笑んでいるNon-Duchenne Smileのような複数の感情表現が行われている.この表情をロボットの顔で再現し,人との対話実験において一方の感情表現しか行わないロボットと比較した.その結果,人間らしい印象には情動的感情表現が,社会的印象には社会的感情表現が寄与しており,提案手法は両方の印象を同時に与えることができた.そして,人に親密な印象を与える上で,友達になるなど,社会的結合を強める初期の段階では社会的感情表現が有効に働くが,一緒に生活するなど,より社会的結合を強めた段階では,情動的感情表現も必要であることが示唆された.

小山 直毅(阪大/JST ERATO),田中 一晶(阪大),小川 浩平,石黒 浩(阪大/JST ERATO)
ロボットからの抱き返しは向社会的行動と相互作用を促進するか (005)
(17INT006) ロボットからの抱き返しは向社会的行動と相互作用を促進するか

人同士のインタラクションにおいて,接触は人に身体的・精神的なメリットをもたらすことや,利他行動などの向社会的行動を促進することが明らかになっている.人とロボットのインタラクションにおいても,ロボットへの接触が心身へ良い影響をもたらすことや,向社会的行動を促進することが明らかになりつつある.しかし,抱擁のような親密な関係の間で行われる接触や,ロボットからの抱擁行為に関する研究はさほど行われてこなかった.そこで本研究では,人がロボットを抱擁する状況において,ロボットが人を抱き返す行為が,人々の向社会的行動やロボットとのインタラクションにどのような影響をもたらすかを明らかにすることを目的とし,人を抱き返す機能を備えたロボットを開発した.実験の結果,ロボットに抱き返された被験者は,ロボットに抱き返されなかった被験者に比べて,より多くの募金を行う傾向を示すことと,より長くインタラクションを行うことが明らかになった.

中田 彩(ATR/奈良先端大),塩見 昌裕(ATR),神原 誠之,萩田  紀博(ATR/奈良先端大)
結露を用いたインタラクティブディスプレイの濃淡制御手法 (023)
(17INT007) 結露を用いたインタラクティブディスプレイの濃淡制御手法

本稿では,結露によりピクセルを構成し情報を提示するインタラクティブディスプレイKetsuro-Graffitiの濃淡制御手法について検討する.結露が発生する条件,濃淡を制御するための手法について検討し,マトリクス状に配置したペルチェ素子アレイの温度をPID制御により個別に制御する結露生成機構を提案する.2×2ピクセルのディスプレイを実装し,何段階の濃淡を制御できるか評価する被験者実験を行った.その結果,9段階の濃淡に有意差がみられ,提案システムにより9段階の濃淡を制御できることがわかった.

辻本 祐輝,伊藤 雄一,尾上 孝雄(阪大)
積み木遊び認識のためのスマートウォッチを活用した 積み木型インタフェース (026)
(17INT008) 積み木遊び認識のためのスマートウォッチを活用した 積み木型インタフェース

積み木遊び認識のためのスマートウォッチを内蔵した積み木型ユーザインタフェースを提案する.スマートウォッチのモーションセンサ情報を用いることで遊び手の動作が認識するとともに,そのマルチタッチスクリーンを積み木各面に拡張することで,積み木への指の接触や他の積み木との接続を認識することができる.本稿では,スマートウォッチを用いた積み木型インタフェースのプロトタイプを試作し,積み木への指の接触と積み木同士の接続の認識性能を検証する.また,これらの結果を基に,センサ情報から積み木遊びの内容を認識する方法について議論する.

石川 美笛,高嶋 和毅(東北大),中島 康祐(三菱電機),北村 喜文(東北大)
浴槽叩打音を利用した浴室でのインタラクション手法 (015)
(17INT009) 浴槽叩打音を利用した浴室でのインタラクション手法

日本の浴室環境のスマート化の策として,浴槽にピエゾセンサを後付けで埋め込み,浴槽縁の上面を手指で軽く叩くことで様々な操作手法を提供するシステムを提案する.これは,浴槽縁上面の叩打位置,叩き方の違いによる叩打音色,叩くリズムの違いによる叩打パターンをそれぞれ検出・識別して操作イベントとして,浴室機器の制御をはじめ様々なアプリケーションに利用できるものである.本稿では,そのシステムの処理内容と実装および各機能性能について述べる.そして,実際の浴室で動作する様々なアプリケーション例を示すと共に,本システムの意義や将来性のほか,各操作イベントのインタラクションデザインに関する制約などについて議論する.

隅田 智之,伊藤 大毅,川勝 椋介,平井 重行(京産大)
2次元のタッチ操作を可能とする3Dオブジェクトのプロトタイピング手法 (025)
(17INT010) 2次元のタッチ操作を可能とする3Dオブジェクトのプロトタイピング手法

スマートフォンやタブレット端末などの普及に伴い,導電性素材を配置した物理インタフェースを静電容量式タッチパネル上で使用するインタラクションが数多く提案されてきた.しかし,既存研究ではタッチパネル上で導電性素材が接触している箇所において「点」としてタッチ入力を発生させるか,スクロールのように「線」としてタッチ入力を発生させることしかできなかった.本研究では3Dオブジェクト表面に配置した「導電性の点群」を介することでタッチ入力を発生させる.これにより,3Dオブジェクト上で行われた操作をタッチパネル上に伝え,手書き文字入力やポインティングなど自由自在な2次元のタッチ操作が行える.提案するオブジェクトは3Dプリンタによって容易にプロトタイピングできる.また,本研究では提案した3Dオブジェクトによるタッチ認識精度及び入力デバイスとしての性能評価を行い,その有用性を示した.

加藤 邦拓,山中 祥太(明治大/日本学術振興会),宮下 芳明
遠隔地間での紙資料受け渡しによる対話相手の存在感の強化 (030)
(17INT011) 遠隔地間での紙資料受け渡しによる対話相手の存在感の強化

遠隔コミュニケーションにおいて資料データなどを画面上で共有するシステムが提案されているが,あたかも対話相手と対面しているような感覚であるソーシャルテレプレゼンスへの影響へ注目した研究はほとんどない.本論文では,遠隔地間で紙資料の受け渡しを疑似的に再現するシステムであるDocumenTransを開発し,開発したシステムを使用して資料提示方法を比較する3つの実験を実施した.その結果,ディスプレイ上での電子的な資料共有おいて,また物理的な紙資料共有においても,受け渡し動作を再現することがソーシャルテレプレゼンスを強化することが分かった.さらに,物理的な紙の共有と,共有画面を通して書き込み筆跡をリアルタイムで確認できることによって,対話相手から受け取った資料の内容が伝わってきた感じが強化されることが示唆された.

大城 健太郎,田中 一晶,中西 英之(阪大)
Mirror Visual Feedbackを活用した 鏡の移動による上肢の移動感覚の変調 (019)
(17INT012) Mirror Visual Feedbackを活用した 鏡の移動による上肢の移動感覚の変調

実験心理の分野では,鏡によって隠された一方の手を,鏡面に映ったもう一方の手の像と誤認させることで,隠された手の移動感覚が変調することが報告されている(MVF : Mirror Visual Feedback).これらの研究は鏡面に映す手が動いていることが前提とされており,鏡面上の虚像の影響のみを純粋に取り出すことはできなかった.そこで,本研究は見えている側の手(左手)を一切動かすことなく,虚像が与える視覚刺激が,隠れている側の手(右手)の移動感覚に与える影響を検証するために,鏡と右手の水平位置をそれぞれ独立に,異なる速度で制御する装置を作成した.被験者実験において,鏡と右手を種々の速度条件で4秒間移動させたのちに,右手が左右どちらに動いたかを解答させたところ,被験者の主観的な移動方向は,実際の移動方向に対して,虚像の移動する方向にバイアスを受けることが分かった.さらに,この移動方向の変調の程度は,両手の姿勢が一致している時に,より強くなった.以上の結果は,MVFによるリハビリテーションに対する新たな応用を示唆するものである.

石原 由貴,小鷹 研理(名古屋市立大)